借り手(企業)にとって、借りたお金で将来に投資(工場を建てるなど)して、それ以上の収益に変えて、利子をつけて銀行に返す。それでも十分利益が残ればハッピーな借金になります。
貸し手(銀行)にとって、一定期間貸したお金が将来にそれ以上の額になって戻ってくれば、ハッピーな融資となります。
このように借り手も貸してもハッピーになれるようにお金が十分に流れることが、良い景気の指標のひとつとして考えられています(ちなみに、お金が流れるから好景気なのか、好景気だからお金が流れるのかという因果関係はまだはっきりしていません)。
お金を返せなくなった場合、つまり、お金の流れが止まってしまった場合、お互いが不幸な状況となります。
日本の失われた10年(長い不景気)の要因のひとつとして、適切に資金が流れなかったという仮説が挙げられています。しかし、いまだ明快な結論は出ておらず、現在進行形で研究が続けられています。確か私の先輩がこのテーマで論文を書いていました。
金融という言葉は難しいように聞こえます。
これを人間の身体で表現すると、血液の流れみたいなものです。我々が激しく運動すると、心臓がバクバクして、たくさんの血液が流れます。この時、必要な酸素や栄養がより多く身体中に送られています。
激しい運動ほど良い景気で、より多く血液が流れることがより多くお金が流れることとしましょう。
銀行の役割というのは、身体の運動状況を把握して、適切な量の血液を身体中に送る臓器の機能を果たしているいえます。
銀行が誤って不適切な血液の量を流してしまうと、血液不足で身体が動かなくなってしまったり、無駄な量の血液を流して余計な負担になります。これは、身体全体にとって良いことではありません。
私の仕事というのは、銀行が適切な企業だけにお金を貸せるように、意思決定の手助けをすることです。具体的には、借り手に関する膨大なデータを分析し、数理モデル(思い込みでない科学的手法)を用いて、将来返せなくなりそうな企業を見つけ出すことです。これには、相当な時間と専門的知識が求められます。
この仕事の社会的意義を思うと、日本の景気を左右しかねないほど重要なものだ、と勝手に認識してがんばっています。
まだ続く
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