2007年7月2日

ようやく論文レヴュー

このブログを立ち上げた最も大きな理由の一つである経済学の論文を紹介する論文レヴュー(放置プレイ)にあたって、ようやく第一回の最終ドラフト版が仕上がりました。
第一回は記念すべき第一回は、Mark Duggan and Steven LevittのWinning Isn't Everything: Corruption in Sumo Wrestling (download)です。
なぜか本文が無料でダウンロードできる、日本語の書籍ヤバい経済学において紹介されていること、偉大な学者の一人であるから、これを選びました。計量経済学というか線形回帰モデルをやった学部生ならば十分読めるローテクな論文ですので、ぜひ経済学部の学生はダウンロードして挑戦してもらいたいです。

経済学のバックグラウンドのある人向けのレジュメを作ったのですが、極力数式を使わないで読み物形式で読めるような紹介形式も作った方が良いかな、と思っています。
これから最終ドラフトを大学院の友人らに送信して、意見を求めます。
コンテンツ自体は近日公開予定です。

休みの日に論文を読んでいるサラリーマンって結構暗いよね、と思いました。他に楽しいことなかったんでしょうか。まあいいや。

2007年6月27日

都会のオアシス~音楽

森トラスト株式会社さんが主催、タリーズコーヒージャパンさんと過門香さん協賛のランチタイムコンサートに行ってきました。
森トラストさんが管理するビルのスペースで、毎週一度くらいのペースで無料コンサートをやっています。ビル内におけるストリートパフォーマンスに近い形式なので、仕事の都合で入退場も自由です。椅子も並べられているので、じっくり聞くこともできます。
今回私は赤坂ツインタワーのコンサートに行きましたが、立派な観葉植物が多く並べられており、こういうお洒落な場所にオフィスがあったらいいな、と思いました。
都会はギスギスしているというか、仕事の緊張感でピリピリしていることもあるので、私はこのようなリラックスできる企画が大好きです。仕事は相当のストレスを強いるものなので、長く続けるにはこのような気分転換が重要だと信じています。わが社ではタバコを吸ってリラックスする人が多いですが(サラリーマンはみんなそうなのか)、これも何だか非生産的なような感じです。

音楽つながりで続けると、先日私の地元にアマチュア・オーケストラがあること(こちら)を知りました。設立者守谷氏の言葉がこちらです。



ウィーンに留学していた時、片田舎の町に行っても、その町のオーケストラがあってね、演奏が終わると指揮者がおなかの大きい団員を紹介したりするんだ。いついつ赤ちゃんが生まれます、と。それが和やかでいいんだよね
(第1回定期演奏会プログラムより) 。
source: http://orchestra.musicinfo.co.jp/~miyamae/partners/partners.html#moriya


ヨーロッパには、彼らのようなアマチュア・オーケストラが小さな町にでもたくさんあるそうです。
一流のミュージシャンの演奏でなくても、特別お金がなくても、音楽を楽しみたいという気持ちは、全世界どんな民族にとっても共通です。地元でこんな団体があるとは夢にも思いませんでした。ぜひ、がんばって欲しいです。できれば、近々彼らの演奏を見に行きたいです。
もし自分が大富豪であれば、彼らに寄付をしたいとさえ考えています。彼らはアマチュアゆえに練習するのにも月謝を自己負担しなければなりません。確かにそれはアマとプロの差といえばそうなのですが、プロでなくてもミュージシャンとしての立場は同じだし、音楽の楽しさを伝えることは可能です。せめて、発表会に参加したら若干の報酬、少なくとも赤字にはならないくらいでもいいんじゃないか、と思いました。
こういう団体をNPO法人にするのはできないんですかね。私にはそのノウハウがありませんが、強い興味を持っています。まあビジネスと音楽は必ずしもその目的が一致しないので、メンバーは嫌がるかもしれません。
ただ、完全に道楽だけで演奏を続けることも、家族の理解なども含めてなかなか辛いのではないでしょうか。音楽は楽しいですが、このような趣味にあまりに夢中になることは、本業・本職を圧迫する可能性があります。趣味は趣味なのでお金にはなりません。月謝が5千円、演奏会に参加するにはさらにそれ以上の額を支払う(年間で最大10万円近く)というのは、趣味としてややお金がかかるかな、と思わないでもないです。趣味を続けるにも、ある程度のお金は必要ですからね。どうにかしてその兼ね合いを取れないのかな(そもそも彼らは取れているのかもしれないが)、と思いました。

2007年6月20日

ドリカムと株価の関係に反論中

というわけで、ドリカムと株価の記事に反論(こちら)の続きです。
今回は新聞記事(こちら)に対するもので、短いです。


《テレビアニメ「サザエさん」の視聴率が上がると、株価は下がりやすい》
 視聴率が高いということは、休日夜の早い時間から在宅者が多いということ。外食などして活発に動き回っておらず、人々の心理は前向きとはいえない。

この因果関係は謎ですね。
確かに外食すれば、外食産業の株価が上がってもおかしくありません。実際、週末こそ混雑しているレストランは少なくないですからね。
家族と団らんすることは、前向きな気持ちになる大切な時間と解釈できないのでしょうか。


《宝くじ人気が高まれば株価は下がる》
 宝くじ人気の上昇は「一発あてて会社を辞めよう」などという現実逃避の意識の高まり。人々の心理は後ろ向き。


株価人気の上昇は「一発あてて会社を辞めよう」などという現実逃避の意識の高まり。とも言えそうですけどね。宝くじと株価が代替的な存在だとすれば(同じ博打の対象)、家計の財布から、宝くじにより多く投資すれば、その分株式に投資できなくなるので、その結果株価は下がるのかもしれません。

《英会話学校とフィットネスクラブを比べ、前者に通う人の割合が増えれば、株価は下がる》
 英会話学校に通う理由の一つは「手に職をつけよう」といった不安感。

これも謎ですね。そもそも英会話学校に通うことで獲得できるスキルというのは英語でしょうけど、それを生かせる仕事というのは、英語の先生、通訳、翻訳などごく限られた職業に他ならないと思います。
あくまで私見ですが、英会話スクールに通う友人も何人かいますが、彼らの目的は英語を楽しむ、英語が好きな友人を作る、といったことが大きいようです。別に転職のためではないようです。
フィットネス・クラブに通う友人も何人かいますが、単純に健康のためや運動を楽しむためのようです。別に鍛えられた身体能力が求められる職業(スポーツ選手、消防士、肉体労働者)になろうとするわけではありません。

《東京ディズニーランドの入場者が増えれば株価が上がる》
 ディズニーランドで遊ぶにはお金もかかるし、歩き回るエネルギーも必要。気持ちの余裕や積極性が要る。

ディズニーランド自体は、最低限の生活を営む上では必要ないものです。したがって、ディズニーランドに通う人が増えている背景には、(可処分)所得の増加があるかもしれません。その他にも、消費や株式投資を増やす金銭的余裕があると推測されます。
まあ会社に行くにも何するにしても、エネルギーや積極性が必要ですよね。忙しいビジネスマンにとって、ただゆっくり休んで疲れを抜くことも、相当な積極性と気持ちの余裕が求められるかもしれません。
まとめ
こういうのに一つ一つ反論してもきりがないので、もうやめます。
相関係数だけで議論したいのならば、時系列や単位のそろった変数を闇雲に集めて、その相関係数行列をはじき出して、そのうち高いものをピックアップしてもっともらしいストーリーを後付けすれば、この手の主張はいくらでも生み出せます。
ごく数枚程度のレポートならばともかく、この結果をベースに議論を発展させていくと、前後の分析結果に整合性がなくなる(矛盾が出てくる)可能性があります。厳密に検証すべき仮説(分析目的)を設定し、それに最も適切な手法を選択しない限り、その結果は十分に信用できるものではない(つっこみどころが残されている)と批判されるかもしれません。当然、吉野氏のような雑な仮説に対して闇雲に計算した相関係数だけでは何もいえるわけがないです。

とちんたら反論していたら、今度はドリカムではなくてサザンオールスターズですか(こちら)。

ちなみに、何人かの友人にこのブログを紹介したら、暗に「もっとやれ!」といった指示というか、煽りというか、挑発というか、ありがたいメッセージというか、他人事だからなのか、とにかくご意見をいただきました。まあもう一回くらいならば、まともに反論できる余地はありそうな気がしますけどね。
それよりも、どうやってこのシリーズを終わらせるべきかの方が不安です。

2007年6月18日

DIRレポート(ドリカム人気と株価)に対するコメント

DIRのレポートに反論中というわけで、 完成版です。
 相関係数を算出し、ドリカム人気とTOPIX(以下、株価)が似たような動きをすると主張するレポートです(こちら)。
 もし学部時代に私がこのようなゼミ発表をすれば、指導教官に厳しい突込みを受けたはずです。 明日ゼミ発表で何もしていなくても、これならば一夜漬けでも完成できるくらいのクオリティと判断します。
直感・主観的に言えば、このレベルのレポートを書ける学部生は山のようにいます。しかし、これを十分に反論できる学部生は山のようにはいないと思います。
 ゼミ発表でどこかの研究所のレポートに反論するのも面白いかもしれませんね。このレポートは反面教師としての存在価値がありますが、反論の根拠を探すのはある程度の勉強量が求められるので、案外難しいものです。しかし、それができるようになれば非常に力がつくはずです。私も確か夏休みの課題でやらされました。あまりできませんでしたが…。
 ちなみに、ドリカムは海外でも活躍しているいわゆる実力派アーティストらしいですね。比較的テレビの露出が多いアーティストで、女性がカラオケでよく歌うこともあり、このレポートでも掲載されているヒット曲は聞いたことがあると思います。しかし、正直に言って私はドリカムのCDは一枚も持っていません。

相関係数の定義
 相関係数ρ(ロー)とは、ある2つの変数の線形的な結びつきの強さを示す指標です。ここでは、ドリカム人気(Xとする)と株価(Yとする)という2変数について、次のように定義されます。
 ここで、分子はドリカム人気Xと株価Yの共分散、分母はXの標準偏差とYの標準偏差です。
 本ブログにおいては、相関係数の数理的な議論はしないので、岩田(1983)などを参考にしてください。

相関係数利用の注意
 統計的手法を用いる卒業論文などで、相関係数が高いからといって大喜びする学部生もいますが、相関係数が決定的な分析になることはそれほど多くないと思います。むしろ、決定的な結論になる回帰モデルの前の一つのステップとして役立つことが多い気がします。
 確かに直感的にわかりやすい指標ではあるものの、特に以下の2点に注意する必要があります。
  • 線形関係の強さしか表していない
 もしドリカム人気と株価が非線形(2次以上の関係や指数など)関係がある場合、相関係数は関係を正確に説明できません。
 この問題を解決する手段の一つとして、まずは図示してみるということです。視覚的にデータの概要を直感的に把握することは、その他の分析においてもさまざまなヒントを与えてくれる可能性が高いです。
  • 因果関係は明示していない
 たとえば、気温とアイスクリームの売上の相関係数を調べてみれば、非常に強い正の相関関係があると考えられます。しかし、相関係数そのものからは、どちらが原因でどちらが結果なのかという因果関係はわかりません。
 この場合、アイスクリームの売上という結果の原因が気温であることは明らかでしょう。相関係数を知らない小学生でも、暑いから(原因)アイスクリームを食べたくなる(結果)ことくらいわかるはずです。アイスクリームを食べる(原因)と、気温が上がる(結果)というのはギャグですね。地球温暖化防止には、アイスクリームをこの世からなくすことが重要である、という法律が必要になります。 この場合、因果関係を判断するのは常識、人間の主観です。
 しかし、因果関係が直感的にわからないこともあります。たとえば、身長と足のサイズには強い正の相関があると思われます(家族や友人などを考えてみてください)。しかし、足が大きいから身長が高いのか(足が小さいから身長が低いのか)、身長が高いから足が大きいのか(身長が低いから足が小さいのか)という因果関係を特定するには、明らかに統計以外の知識が必要です(私も全くわかりませんが、身長も足の大きさも結果なのかもしれません。生物学の分野なのでしょうか。詳しい方教えてください)。しかし、両者に正の線形関係があることだけは明らかでしょう。相関係数を解釈しても、それ以上の主張はできません。
 そういえば、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル 第三部」の493ページ(文庫の第八版)で、相関関係と因果関係を間違えていましたね。純粋文系の人には違いがわからなかったのかもしれません。

僕があそこで殴り殺したものと、綿谷ノボルの昏倒のあいだには、必ず何か相関関係はあるはずだった。

村上春樹著 ねじまき鳥クロニクル 第三部 493ページ

 相関係数の値そのものは客観的な指標として信頼できますが、本当に相関関係を示しているかを判断するには、主観的な判断や他の領域の知識に頼らざるを得なくなったり、別の手法を用いて再考する必要もあります。
例を挙げましょう。データといえば、統計局ホームページから、なるべくこれを書いている人間の頭がおかしいと思われるようなぶっ飛んだデータを選んでみましょう。
 宗教団体の総数(こちら エクセルファイルです)と地方競馬観戦者数(こちら エクセルファイルです)のデータ1985~2001年まで17年分を拾って、相関係数を出してみました。すると、0.74となり強い相関関係にあることがわかりました。だからといって、競馬ファンが宗教団体を設立したり、宗教団体の設立者が競馬を見に行く傾向にあるというのも(多分)ないでしょう。あえて解釈をすれば、両者の変動は景気のトレンドとよく似た動きをしているのかもしれません。もし誰も気がつかない関係を発見すれば、それは面白いですね。
(注:サンプル数がやや少ないのは、データの都合上やむを得ませんでした。この場合、相関係数の値が重要なのではなく、適当に選んだ変数でもたまたま似たトレンドを示すことがある、ということを言いたいだけなので、卒業論文などでこれを真似しないでください。なお、用いたデータは、最後に掲載しておきます。)
 また、GDPと砂糖の消費量にも、特に80年代まではおそらく正の相関関係があります(と、学部の統計の先生が言っていました)。しかし、これらはただ同じような推移を示しているにすぎないのであって、解釈としては、せいぜい砂糖(終戦直後の豊かさのシンボル)を消費できるほど豊かな生活を送れるようになった、くらいしか言えないでしょう。 砂糖を消費すればGDPは上がるというのは、確かに間違っていませんが、景気予測の指標になるほど大きな割合は占めていません(むしろ無視できるほど小さいものではないでしょうか)。
 ちなみに、景気の予測モデルは、少なくとも数十本の連立方程式(民間消費、政府支出、貿易収支、民間投資、政府投資など)から構成されます。 こういった多くの変数が相互に複雑な関係を示している中で、景気(結果)を予測するのにどの指標が有意でどの程度効いてくるか(原因)を解明するのは、専門家でも難しいことですし、現在も研究中のトピックだと思われます。
 日本経済はバブル崩壊までは右肩上がりの成長を記録してきたので、良く似た正のトレンドを持つ経済指標も少なくありません。だからといって、相関係数だけから景気の予測指標になると主張するのは非常に乱暴です。
 TOPIXも景気と同じように最も総合的な指標の一つです。株価の予測モデルができれば、それは修士論文として十分通用するのではないでしょうか。当然のことながら、ドリカム人気というたった一つの指標との相関係数だけから、論文になるような決定的な解釈ができることはありえません。相関係数をエクセルで算出するだけなら、中学生でも簡単にできるでしょう。中学生が景気予測していたら、それは腰が抜けそうですね。

DIRのレポートに対するコメント
第一節について

・ドリカム不人気と株価の関係はないのか?
 好きというプラスの評価しか考慮していないようですが、嫌いというマイナスの評価は株価に影響を与えないのでしょうか。 彼らの主張の言い回しを変えれば、アンチ・ドリカム(ドリカム不人気) と株価には負の相関があると思われます。

・ドリカム以外にも株価との関係を持つタレントはいないのか?
 なぜ数多くのアーティストの中で、ドリカムだけが選ばれたのでしょうか。ドリカム以上(以下)に株価に影響を及ぼすアーティストもいるかもしれません。その意思決定のプロセスについても、なぜそうなるのかも非常に興味があります。

・「強い相関」ではなく、有意か?
 石村(1994)は学部レベルでもやや数学を使わない統計の本だと思われます。「強い」相関の定義がよくわかりませんが、普通重要なのは統計的に有意かどうか、です。
 私のネタ本は岩田(1983)の10.3節です。インターネットでわかりやすく記述されているページは(こちらこちら)などがあげられます。
帰無仮説:この相関係数は0である を検定してみましょう。DIRのレポートでは、相関係数がr=0.79 、サンプル数がn=11(図を見る限り、半年に一度の調査)なので、(1.5)式に代入すると、t=3.86となります。自由度9のt値は有意水準5%で2.262 、1%で3.250となります。したがって、有意水準1%でも帰無仮説が棄却されるので、ドリカム人気と株価は無相関ではない、ということがいえます。
 サンプル数が少なくても、相関係数自体が大きいので確かに統計的にも有意です。ただし、この2つの変数が2変量正規分布に従うという仮定を満たしていなければなりません(株価が正規分布に従う保証はありません)。岩田(1983)を読む限り、このt値は回帰モデルのスロープ・パラメータの検定と同じ要領で導出されています。
 蓑谷(1997)の3-4節で、決定係数の評価に際して、回帰モデルの自由度は少なくとも15以上あるべきで、5や6では信頼性が損なわれると述べています。このレポートの自由度9というのは、やや後者に近いようです。
 永田(2003)では、私が調べた限り、相関係数について十分な標本数について議論されていませんでした。しかし、その他の検定や私がこれまで勉強してきた限りでは、一般に標本数は少なくとも数十程度は必要です。
 また、後述のように標本選別バイアスの問題もあり、標本数の少なさが突っ込まれる可能性が高いです。

第二節について
 この節全体が全く意味不明ですし、著者が相関係数のことを本当にわかっているのか疑いたくなるような記述です。
 「ドリカム人気が上がった時~」というくだりは、相関係数が意味していることです。人気と株価は特に正の方向に強く反応するといいたいのでしょうか・・・。
上述のように、因果関係は相関係数から言えないので、最後のパラグラフ(投資家心理がどうこう)は著者たちの思い込みにすぎないのではないでしょうか。

・サンプル・セレクション・バイアスにすぎないのではないか?
 たまたま株価と人気の変動が似ていた期間だけを意図的に選んだために、この相関係数が高くなった可能性が考えられます。
 ちなみに、宗教団体の数と地方競馬入場者数の最初の一年目を削って1986~2001の16サンプルとすると、相関係数は0.78になります。サンプル数が少なくなるほど、一つのサンプル(特に外れ値)がより大きく分析結果に影響を与えることがあります。このレポートにおけるデータは、公正に抽出された信頼できるデータであると言えるでしょうか (このテレビタレントイメージ調査が学術的に正しいかどうかの議論は、私の勉強不足で省略します)。

・レポート自体が確証バイアスの典型的な例ではないか?
 この筆者がドリカムファンでその情熱でレポートを書いているのか、ドリカム関係者との癒着で書いているのかわかりませんが、たまたまドリカムと株価の相関係数が高かったのをあまりに喜びすぎて、反論を想定せず、早とちりして全世界に誤ったレポートを発信してしまった可能性があります。客観的な指標が相関係数だけという分析でレポートは書けません。主観で物事を語るのは、エッセイかストーリーです。
 友野(2006)によれば、行動経済学の観点から、これは確証バイアスと呼ばれています。

確証バイアスとは、いったん自分の意見や態度を決めると、それらを裏付ける情報ばかり集めて、反対の情報を無視したり、さらに情報を自分の意見や態度を補強する情報だと解釈するバイアスのことである。さらに、確証バイアスから自信過剰という傾向が生じることもわかっている。

行動経済学 経済は「感情」で動いている p.88 友野典男著
 学部時代の多変量解析の授業では、モデルの精度(決定係数)が高ければ良いモデルだと誤解する学生が非常に多かったです。予測という観点だけからすれば確かにそういえるのですが、論文では何を検証したいかという仮説の設定の方がはるかに重要です。期待する変数がなぜ有意にならなかったかを検討することで、モデルの改善や別の知見が得られることは珍しくありません。そのような試行錯誤なくして、まともなモデルは作れません。

第三節について
 ヒット作の定義(アルバムなら200万枚以上、シングルならば100万枚以上の売上)がなぜ本文のようになされるのか理由がよくわかりません。彼らの主張とたまたま一致する点があっただけではないでしょうか。しかも、サンプル数が一桁しかないので、この主張は全く信頼されない可能性が高いです。

まとめ
 本レポートによれば、サンプル数11と非常に小さい標本であるが、ドリカム人気と株価には統計的に有意で正の相関が見られました。
 しかし、サンプル・セレクション・バイアスの可能性やサンプル数の少なさもあり、ドリカム人気と株価の動きがたまたまこの期間は似ていることを示しているにすぎない、と私は反論します。この相関係数の値でさえ疑いの余地が残されているし、トレンドが似ているからといっても、相関係数だけからあたかも因果関係(人気が上がれば株価が上がるなど)があるように主張することは、あまりに乱暴すぎると思われます。仮にドリカム人気が株価を予測する重要な要素の代理変数だったとしても、ある程度壮大なモデルを構築して証明する必要があります。その因果関係を解明したら、それは立派な論文になるでしょう。
 経済学の観点から、ドリカム人気は直接の研究対象ではないので何もいえませんが、バブルでなく日本経済が実際の成長を反映して株高になれば良いと思います。

References
・経済分析のための統計的方法(第2版) 1983 岩田暁一 (こちら
・計量経済学(第三版) 1997 蓑谷千凰彦 (こちら
・サンプルサイズの決め方 2003 永田靖 (こちら
・すぐわかる統計解析 1994 石村 貞夫(こちら
・行動経済学 経済は「感情」で動いている 友野典男 (こちら
・ビデオリサーチ テレビタレントイメージ (こちら
・Business Media 誠:ドリカムの人気と株価の関係 (こちら
・ドリカムの人気と株価の関係(オリジナル・レポート こちら pdfファイル)
・青木繁伸ホームページ(こちら
・千野研究室(こちら
◇相関係数を算出するのに用いたデータ
年 宗教 地方競馬
1985 226088 12331717
1986 225855 12452509
1987 229548 12637482
1988 230128 12330471
1989 230267 12901738
1990 230704 13769991
1991 231022 14609328
1992 230900 14208793
1993 231019 13552078
1994 231428 12894560
1995 229969 12206509
1996 227558 12259034
1997 227100 12326000
1998 226984 11676678
1999 226597 11050704
2000 226117 9310874
2001 225885 8575942

2007年6月14日

仕事が降ってきた

先日上司にランチをご馳走になりました。正確に言うと、新人養育費(?)なるものが会社から支給されており、時々(月1,2程度)ランチに連れて行っておしゃべりをするという任務が上司にはあるそうです。すばらしい試みだと思います。
ただ食事をして雑談しただけで、会社からその費用が負担されているというのも何だかよくわかりませんね。まあチームワークや社内の雰囲気というのも重要な要素だ、ということにしておきましょう。

それがきっかけで、「今ちょっとわからないことというか専門家がいなくて…」みたいなことを切り出され、時系列で有名なHamilton(こちら)の一部を読むことになりました。たまたま私の本棚にこの本が入っているから、声をかけてみたそうです。ランチで釣られたような気がしないでもないですが…。
実はこの本は学部の先生からの頂き物で、まともに読んだことはありません。しかも、時系列は1つか2つくらいの授業しか受けたことがないので、特にマクロ計量系は詳しくはないです。
とはいえ、できる人がいないというのと、せっかくいただいたチャンスだということで挑戦しようと考えています。 私の自力だけでは難しいので、詳ししそうな人を誘って議論することで理解を深め合うつもりです。こういうのは、大学院と同じノリでいいですね。

法律の変化やイベント(テロやバブル崩壊など)によって、大きな構造変化がある場合のモデルみたいです。ARモデルなど一般の時系列モデルを拡張し、離散型確率変数として推移行列をかませるモデル、なのかもしれません(よくわかっていません)。
今月中に簡単に報告できるよう、がんばります。詳しい方教えてください。

2007年6月12日

DIRのレポートに反論中

DIRのドリカムと株価の関係というレポートに対して反論しています。ほぼ完成していますが、友人に送信して、コメントをいただいてからアップロードしたいと思います。

作業中にふと見つけましたIT Mediaの記事です(こちら)。レポートの著者の吉野氏は、サザエさんと株価の関係(こちら)の著者だとわかりました。このIT Mediaの記事もめちゃくちゃですが、何よりこのレポートと同じような手法でこの本を書いているとしたら(読者のコメントを読む限り、その可能性が高いです)、大変恐ろしいことです。腰が抜けそうになりました。

私は行動ファイナンスの専門家ではないのでよくわかりませんが、行動ファイナンスが行動経済学の一部(応用分野の一つ)だとすれば(多分そうみたいです)、サザエさんと株価の関係というのは、この分野の研究領域ではないはずです。行動ファイナンスはトリビアみたいな事象を発見する学問ではありません。
行動経済学については、今思うと修士時代に読んだ論文がそのジャンルに組み込まれていたのかも、という記憶があります。行動経済学は面白いので、入門書として友野氏の著書(こちら)を参考にしてください。近々この本の書評をしたいです。

最後に上述のIT Mediaの記事について

経済分析のファクターに投資家の心理や行動を織り込んだ学問は「行動ファイナンス」と呼ばれる。近年研究が盛んで、代表的な研究者である米国のダニエル・カーネマン氏は2002年にノーベル経済学賞を受賞した。
吉野さんの研究もこれに基づくわけだが、TOPIXとの相関などの中から発見した“法則”をいくつか別稿にまとめた。どうやら、投資家の行動が“外向き”になっているときは、株価も上がりやすいようだ。


この上半分はいいとして、吉野氏のやっていることは経済分析に基づかないため、主張や思い込みの類と言われてもやむをえないでしょう。投資家の心理や行動というのは、「外向き」という定義もよくわからないものではなく、たとえばリスク回避度や時間選好率といった従来の経済学では無視されてきた人間の感情・感覚です。行動経済学では、こういった目に見えない要素を肯定するために、心理学や医学などを取り込み、伝統的な経済学に反論しています。
現在研究中の学問とはいえ、しっかりと確立した学問であり、吉野氏のいうようなtriviaとは全く関係ありません。相関係数だけで物事を議論できるほど経済学は簡単ではありません。

2007年6月1日

スパーリング始めます

新コーナーのスパーリングです。

論文レヴューを公式戦として、ここスパーリングでは、適当な文献や記事を深く読み解くことで、公式戦に向けての練習とします。

  • 対戦相手は選んでいます
某兄弟のように、話題作りのために、適切な対戦相手を選んでおり、結果が見えている場合が少なくありません。パブリック・イメージ作りも重要なので、これに対する苦情は受け付けません。ただ、できる限り挑戦状(?)というか、面白い記事のお知らせは歓迎いたします。それに答えられるかどうかはわかりませんが。
  • レフェリーストップやセコンドのアドバイスは重要です
仮に私がノックアウトされても、試合中には本能で立ち上がって戦おうとしてしまうのがボクサーというものです。これ以上は危険だ、もっと別の作戦があるなどのアドバイスが第三者からいただけることは、大変貴重だと考えています。
つまり、私のコメントが的外れであることに自分で気がつかないことがあります。客観的なご意見やご質問をいただけることは、この上ない喜びだと考えています。

  • 対戦相手には感謝する
勉強の機会を与えてくださったスパーリング・パートナーには、感謝の気持ちでいっぱいです。私がノックアウトしようとされようと、それがお互いの現在の実力なので、それぞれ今後の課題として生かせば良いと思います。
最低限の礼儀として、お互いに敬意を払い、勉強させたいただいた、という気持ちを忘れないように心がけています。

それでは、第一回のスパーリングはDIRのドリカムと株価の関係(こちら)とします。すでにゴングは鳴っていますが、試合終了まではもう少し時間がかかりそうです。

2007年5月28日

こんなんで給料もらっていいんか?

私の会社は通常の金融機関と同じく、(建前は)土日はしっかり休みの完全週休二日制です。
すると一ヶ月20日ちょっとの営業日があるわけで、初任給を考えると、大体一日一万円程度もらっていることになります。
現在OJTということでプロジェクトに配属されておりますが、仕事が与えられないときは実質的に放置プレイです。


というわけで、最近オフィスで暇な時(決して仕事をサボったり、怠けているわけではないが)にやったことを反省の意味も込めてまとめます。

・上司に大量の資料のコピーを命じられ、三時間ほど最大4台のコピー機を占領してコピーを続ける
→指示されたことだからやむ得ないが、コピーなんて小学生でもできるのに、これで給料をもらっても良いのかと罪悪感を感じる

・自習・自己研鑽と称して、ひたすら自分の勉強をしていると一日が終わっていた
→遊んでいるわけではないにせよ、学生と同じことをしていて給料がもらえるのは不思議

・午前中に議事録作成が終わったので、午後からkakuto.comの翻訳の手伝いをず~っとやる。
→百歩譲って、英語のスキルの向上には役立つが、どう考えても、仕事とは何の関係もない

・最近ガーデニングに興味を持ったので、インターネットでリサーチしていると、いつの間にかランチタイムになっていた
→引きこもり系の人間はインターネット好きなので、ある程度やむを得ないと割り切る

・思いつきで、論文を探し、それをず~っと読む。
→一歩も譲らないで、論文の技術は仕事に役に立つ(はず)が、直接仕事とは関係ない

・午後の出張に備えて買ってきたベルトが長すぎたので、午前中デスクでチョキチョキ工作する
→何歩譲っても、明らかに仕事ではない

こんなことで日給約一万円もらっても大丈夫なのか疑問です。

まあ、上司の指示で「打ち合わせ」と称して、会議の後で一杯1000円以上するコーヒーを飲むこともあったり、社会人は無駄なことが多いのかな、と思いました。しかも打ち合わせと言っても、単なる雑談だったので、この会社というか日本の社会は大丈夫なのかと不安になりました。
まあ私は言われたことをこなすだけなので、そんなもんでしょう。もちろん、そういう地位に甘んじているつもりは全くありません。

2007年5月27日

日々の勉強

社会人だからといって勉強しなくて良いわけがありません。日々勉強、一生勉強です。


どうもわが社に限らず、実務では専門用語(jargon)が頻繁に飛び交う傾向にあり、なかなか私のような外部というか素人に説明するのはうまくないのかもしれません。

話を聞いてもわからなかったり、足りなかったりすることが少なくないので、学生時代と同様にまずは啓蒙的な文庫本や新書の類を読み漁っています。基本的に、川崎市内の図書館にあるもので済ませて、自分で高いお金を払わないようにしています(払えない)。初任給といっても、たいしたことはないです。


  • 金融工学の挑戦―テクノコマース化するビジネス (新書) 今野 浩 (著)

  • 国と会社の格付け 実像と虚像
格付けに関しては、実務寄りの本を何冊か読んだような気がしますが、忘れました。普通の図書館ならどこにでもあるような本だったと思います。それら全てを厳密に理解したわけではありませんが、何となく概要をつかんだので、良しとしました。
私は格付けのリバース・エンジニアリング(つまり、どのようなメカニズムでその判断しているかを分析すること)をやろうと思っていました。しかし、どうもある程度の主観的な判断が含まれていたり、我々一般人が入手できない内部情報や非公式情報などを利用しているようなので、あきらめました。
日本人は権威に弱いのかもしれませんが、所詮格付けも主観的な判断に過ぎないので、それが絶対に正しいとは言えないはずです。知識がないから権威に盲目的に服従してしまう、それはできれば避けたいですね。

で、自分の肌に合う本は、やっぱり学者が書いたものということがわかりました。下手に実務寄りだとお子様相手に書かれていたり(俗っぽい?)、かといって簡潔に書こうとすると学術の分野で張り合っている学者にはかなわないような気がします。
この東工大の今野先生が書いた本は、理工系の学部生(以外)にも非常にお勧めしたいです。私も電車の中で読んでいたので数式を追うことはしていませんが、難しくてわからなければその辺はスキップしてください。本全体の解釈について大した支障はないはずです。
学者が命をかけて(?)勉学に励むという姿勢を学んで欲しいものです。ず~っと勉強していることは非常に暗い人生に見えるかもしれませんが、そういう人生もまたありなんだと思います。 


学生時代には、お金の話はどうも無機質な感じがしたり、専門用語が多くてあまり興味を持っていませんでした。しかし、これらを読んでからファイナンスの勉強を始めると、非常にとっつきやすくなりました。他にもビジネス誌などを立ち読みしたりと、業界のトレンドにもアンテナを張るようにしています。勉強だけできても、実務を知らないと仕事ができません。
常に勉強という姿勢は、サラリーマンになっても忘れずにいたいものです。




この手の文庫本・新書はブックオフなどで比較的容易に入手することができます。先日以下の本を入手しました(合計700円)。

・日本の地下経済 (門倉貴司

・日本の経済格差 (橘木俊詔

これらは、個人的な研究用(趣味)です。
最近アンダーグラウンドに興味を持っていたので、ゲットしました。まだ途中までしか読んでいませんが、この本の要約に相当するレポートが浜銀総合研究所に上がっています(こちら)。地下経済というのは、確かに多くの人に受けそうな興味深いトピックだとは思います。
このレポートはざっくり読みました。地下経済がGDP数パーセントに相当するという結果は、2つの推定方法の整合性からも妥当だと思います。しかし、これは論文の書き方ではない(その手法を用いるのが適切かどうか、本文から判断しかねる)ので、それについてもコメントできるよう勉強します。書き手のせいで、この本を買わなければならないというビジネスですね。今のところ、引用されている論文をダウンロードできれば読む予定でいます。
ビジネスマンが書いた論文を一度は読んだことがあります。それと同じように、この本もどうも引用の仕方やロジックの展開が甘いと感じることが少なくありません。
インプット(自分が消化吸収)できないものはアウトプット(応用すること)できないので、論文を十分読めない人は論文を書けません。練習についていけない人は試合でも付いていけないというのと同じです。私は修士二年でそのことを常に思い知らされてきましたし、今でも思い知らされています。

「日本の経済格差」は、私の友人(某ボクシングジムのトレーナー)の指導教官橘木先生の本です。買ってから知りましたが、エコノミスト賞を受賞している本なのですね。読むのが非常に楽しみです。
実は、この不平等に関するネタで論文を書こうと思っています。できるかどうかまだわからないので、詳しくは秘密です。

東大に行ってきました

いろいろ書き途中の記事があるのですが、生存報告も兼ねて最近の情報を。

平日は仕事だけの日々ですが、週末こそ人脈を広げたり、友人とのネットワークを充実させる時間としています。もちろん、休日出勤(自己研鑽なので給料はもらえなくても)の時もありますが。

というわけで、はしかが流行しているにもかかわらず、同期の友人(元東大受験者で、大学院は私と同じ)と人ごみあふれる東大の文化祭に行ってきました。
高校時代は思い出したくもない私の不毛の時間(I was a Rock'n Roller far from studying)だったので、東大はとても目標にするほどでもありませんでした。しかし、優秀な同期に連れられて行くと、落ち着いたキャンパスでとても良い印象を持ちました。
大学院と比べると、何より本郷キャンパスは平地だし、駅から近いし、東京の中心地なのに緑が多くて良かったです。優秀な友人もできるだろうし、もし人生をやり直せるなら、日本で学者を目指してここを目指すのも悪くないかな、と思いました。
そういえば、わが社には奨学金制度があるので、ここで博士号をとればいいわけですね。社会人博士は東大に多いんですかね。

といいつつ、優秀な友人というのは非常に名残惜しいですが、それ以外については、自分の人生なのでどうでもいいや、という感じです。自分はドロップアウトしてから、自力でまっとうな道(?)に戻ってきた(ある意味別の道を歩いている?)と思っているし、良い意味でも悪い意味でもドロップアウトしなかった連中とは違うと自覚しています。
そういえば、昨年末高校の同窓会が地元平塚市でありました。一週間前に友人経由でメールが回ってきて、大阪から出席しました。名簿がなかったのでそのような手段に頼らざるを得なかった点は同情しますが、主催者もこのご時世にホームページくらい作ってアナウンスしろ、と思いました。
で、何が言いたいかというと、おそらく彼らはドロップアウトせずにまっとうな道を歩き続け、今彼らの多くは典型的な大企業に勤めています。
なぜかはよくわかりませんが、彼らとは合わないような気がしました。そう思っていたのは確かに高校時代からです。私は特別親しくない友人と馬鹿騒ぎする趣味はないので、高校の同窓会は今後も行かなくてもいいや、とまた人付き合いの悪さを自覚しています。
何が言いたいかというと、人は人、私は私で、日々修行の毎日です、ということでしょうか。

その後、文京区の日本サッカーミュージアムに行ったり(WE10を買いたくなった…)、ディスク・ユニオンと秋葉原のヨドバシカメラで買い物をして、後で合流した友人合計4人で風月で食事して、HUBで飲んでました。多く支払ってくれたO君にここで感謝いたします。
私は別にmajorityではないが、minorityとして何とかやっているもんですね。詳しくは村上龍の小説を読んでください。彼の多くの作品のテーマはそういう雰囲気があります。そんな人生もアリかもしれません。

2007年5月10日

私の仕事②

では、なぜ私の仕事が貸し手にとって重要で意義があるのか、日本経済全体という広い観点から(若干誇張気味ですが)考えてみましょう。やや概念的な話で正確さを欠きますが、経済学を全く知らない人にイメージをつかんでもらえればOKとします。

借り手(企業)にとって、借りたお金で将来に投資(工場を建てるなど)して、それ以上の収益に変えて、利子をつけて銀行に返す。それでも十分利益が残ればハッピーな借金になります。
貸し手(銀行)にとって、一定期間貸したお金が将来にそれ以上の額になって戻ってくれば、ハッピーな融資となります。
このように借り手も貸してもハッピーになれるようにお金が十分に流れることが、良い景気の指標のひとつとして考えられています(ちなみに、お金が流れるから好景気なのか、好景気だからお金が流れるのかという因果関係はまだはっきりしていません)。
お金を返せなくなった場合、つまり、お金の流れが止まってしまった場合、お互いが不幸な状況となります。
日本の失われた10年(長い不景気)の要因のひとつとして、適切に資金が流れなかったという仮説が挙げられています。しかし、いまだ明快な結論は出ておらず、現在進行形で研究が続けられています。確か私の先輩がこのテーマで論文を書いていました。

金融という言葉は難しいように聞こえます。
これを人間の身体で表現すると、血液の流れみたいなものです。我々が激しく運動すると、心臓がバクバクして、たくさんの血液が流れます。この時、必要な酸素や栄養がより多く身体中に送られています。
激しい運動ほど良い景気で、より多く血液が流れることがより多くお金が流れることとしましょう。
銀行の役割というのは、身体の運動状況を把握して、適切な量の血液を身体中に送る臓器の機能を果たしているいえます。
銀行が誤って不適切な血液の量を流してしまうと、血液不足で身体が動かなくなってしまったり、無駄な量の血液を流して余計な負担になります。これは、身体全体にとって良いことではありません。


私の仕事というのは、銀行が適切な企業だけにお金を貸せるように、意思決定の手助けをすることです。具体的には、借り手に関する膨大なデータを分析し、数理モデル(思い込みでない科学的手法)を用いて、将来返せなくなりそうな企業を見つけ出すことです。これには、相当な時間と専門的知識が求められます。
この仕事の社会的意義を思うと、日本の景気を左右しかねないほど重要なものだ、と勝手に認識してがんばっています。

まだ続く

2007年5月9日

私の仕事①

四月は新しい生活に忙しかったので、更新をサボりました。また、現在テレビが家にないので、サッカーも見られません。

私の仕事はおそらく世間一般の仕事からすれば、おそらく非常に特殊です。自分の仕事が世間的にほとんど認知されていないことがわかってきたので、ブログでぼちぼち説明していこうと思います。

幸いなことに、私は多くの親戚に就職祝いを頂きました。そのお礼も兼ねて連休中にご挨拶に伺い、自分の職業を説明しました。しかし、基本的にほとんど通じないのが現状です。
ちなみに、私の母には何度も何度も説明して、ようやく仕事の意味がわかってきたのかきていないのかというレベルの理解度で、製造業に勤める私の父は全く意味がわかっていません。私の祖母は全く理解できていません(報道機関か銀行だと思っている?)。
これまで何人にも私の仕事を話してきた経験から、ある程度の教育を受けた人でないと(かなりのマイノリティです)、残念ながら私の職業が意味不明というか興味が全く持ってもらえないことがわかってきました。
今回は、極力専門用語を使わないで私の仕事を伝えられるようがんばってみます。

私の職業の日本語での肩書きは金融コンサルタント、英語で書くとmodeler(定義はこちら)となります。後者の呼び方は、最近知りました。私はこの呼び方が気に入っています。
コンサルタントといっても、システム系やら経営コンサル(外資系など含む)やらいろいろありますが、中には口先でごまかして何の解決(ソリューションと呼ぶ)もしていないインチキ会社もあります。
私の仕事を硬く説明すると、非常に複雑なデータを分析し、ある意思決定のための数理的なモデルを作ることです。特に、金融系のデータが多いです。

例を挙げてみましょう。
銀行の経営を成り立たせる業務のひとつとして、会社に一定期間お金を貸して、利子をつけて返してもらうことが挙げられます。貸したお金が全部返ってくれば問題ないのですが、実際には一部の企業が返せなくなることがあります。それは、銀行にとって非常に大きな問題になります。
このような企業融資だけでなく、消費者金融、自動車ローン、住宅ローン、奨学金(現在返済中!)など、何かしら借金をした人は少なくないと思います。
もし私が奨学金を返済できなくなった場合、親や親戚が連帯保証人になっているので、そちらに借金の負担がかかります。借りたお金は、契約書に記載されている通りに返さなければなりません。
私の仕事は、お金の借り手に関する膨大なデータを分析し、モデルを構築することで、借金を返せなくなる可能性のある人や企業などを判断することです。

続く

2007年3月28日

U-22日本 対 U-22シリア@国立競技場

反町ジャパンのベストゲーム

戦前の評判では、国立に行く人は何と奇特な方だろうという雰囲気でしたが、今夜国立に行った人は大満足だったことでしょう。試合の評価は7.5、これ以上の内容のゲームはこのチームでなかなか見られないと思います。試合前、選手間でミーティングをしたそうですが(こちら)、その成果なのかチームらしさというのもアピールできたし、ホームでグループ最強のライバルをノックアウトに等しい完勝したという結果も残しました。この勝利はこのグループにおいても、このチームの将来にとっても非常に大きいはずです。

チームのコンセプトはこれで見えたといって良いでしょう。早いパス回しとコンビネーション、日本人の得意とする身体的能力であり、オシムジャパンが目指すべき我々独自のサッカーそのものです。しかし、もちろん課題のない試合はなくて、今回は中盤の組織的なプレスがまだ甘かったです。そのせいで特に前半は、サイドからクロスをあげられたり、相手の個人勝負に無駄に勢いをつけさせてしまったシーンが何度かありました。もちろん、細かいミスなどは各自修正してください。
日本の良かった点は、何といってもパスの展開がかみ合っていることでした。これは家長がトップ下で左右に効果的に裁いていたことが大きいです。それに触発されたのか、周りのメンバーもその方向性、自分たちのやり方に自信を持って、壁パスや相手最終ラインへの走り込みなどを積極的に仕掛けられました。
シリアはこのグループで日本のアウェイ戦での1敗は覚悟していたのか、失点後反撃の元気がなかったのにも幾分助けられたような気がします。

この試合のMVPは事実上(?)4点以上取った平山とします。今日の彼は私がこれまで見た中で最もゴールに対する姿勢が積極的でした。しかし、彼のポテンシャルは身体能力も含めてまだまだ秘められていると思います。準MVPは家長です。途中交代のカレンと枝村も、ワンタッチパスなどが非常に良かったです。今日は悪かった選手の方が少ないです。ようやく彼らのポテンシャルが開花したといえます。これでようやく反町監督に信頼がおけました。どのJ1でも今日のこのチームを倒すのは、決して容易ではないはずです。
それにしても、平山のコメントだけを聞いていると、まるで3-0でボコボコに負けたチームの戦犯みたいな感じがしますね。この辺ももう少し修正した方が、北京五輪代表の人気にもつながると思います。

2007年3月26日

湘南vs.愛媛@平塚競技場

久しぶりに平塚まで観戦に行ってきました。
試合の詳細はこちらこちらを参考にしてください。感想はこちらこちらをどうぞ。

北京五輪代表より勢いというか気合のある試合でした。

中町の退場はやや酷(一枚はもらっても仕方がないとして) ですが、それ以降決してあきらめない姿勢が良かったです。去年までのベルマーレならば、退場者一人で半ば戦意喪失気味だったからです。私は7ゲートで観戦していましたが、試合終了後のサポーターも概ねまずまずのリアクションだったように見えます。 早川主審がレッドカードを出した時には大ブーイングで、「平塚に二度と来んな!」とかいかすコメントが聞こえましたし、私も「てめぇ馬入に沈めるぞ!」とローカルネタで挑発していました。
とはいえ、ホームでスコアレスドローはいただけません。個人の技術や能力では劣る愛媛ですが、この試合カウンターを意識して戦っていたので、勝ち点3こそ逃したものの、自分たちのやっているサッカーに自信を深め、今後につながるドローだったと思います。よく統率されたチームだという印象を受けました。 ただ、若干ボールを向いている方向に意識が行き過ぎているかな、と思わなくもなかったです。逆サイドに展開されたり、背後にパスを出されると、どれだけ対応できるかは気になったところです。

ベルマーレの今後の課題というか気になった点を幾つかまとめておきます。
・攻撃ははっきりいってADIEL頼み
・中盤でボールを大きく展開できる人材の欠落
・クロスボールの精度
・最終ラインはサイドからの揺さぶりに課題

一点目と二点目は関連していますが、中盤でパスを出せる選手がいない(去年までの佐藤)ため、どうしてもフォワードにボールを預けたらそれで終わってしまいます。混雑したサイドから逆サイドに展開する流れが欲しいです。それでもADIELの攻撃力というのは凄まじく、実際に自力で相手守備を突破できるのですが、フォローがある方がより確実です。
また、サイドアタックで何を焦っているのか自信がないのか、クロスボールの精度がひどすぎます。フリーでも成功している可能性の方が低いようにすら思います。
最後に、現在ベルマーレの好調を保っている最終ラインの斉藤とジャーンですが、この二人はややスピードに欠けるので、クロスボールによる揺さぶりにもろい可能性があります。これは中盤やサイドの対応とも関わってくるので、早めに修正してもらいたいものです。

いずれにせよ、今年のベルマーレは勝利に対する執着心が伝わってくる試合をするので、湘南エリアの皆さんは是非平塚競技場で観戦することをお勧めします。
次回の観戦は、ヴェルディ戦でしょうか。全ては仕事次第です。

2007年3月24日

いまだ発展途上

私のオシムジャパンのベストゲームは相変わらず初戦のトリニダード・トバゴ戦です。
とりあえず、中村と高原の合流で、実際に結果を残したことは非常に喜ばしいことです。しかし、その一方で、これまでのメンバー積み重ねがあまり生きなかった、と思わなくもなかったです。ただ、控えの選手など野心に満ち溢れた選手がいるのは、今後の日本代表にとって喜ばしいことです。これはオシムの起用法によることが大きいかもしれません。
試合について、個人の能力では、明らかに日本の方が分がありました。そして若干その差も感じて慌てることなくボールをキープすることもできたのですが、もう一歩攻撃の華やかさというか、破壊力不足が欠落したため、いまいちインパクトにかける試合だったという印象です。もう少し積極的にペナルティ・ボックスに進入したり、ミドル・シュートで威嚇するなどして、相手の嫌がるプレイを意識できればなお良かったと思います。
結局ゴールは中村俊輔のFKからのセットプレー絡みだけで、これまでやってきたことで流れの中から得点して欲しかったものです。国内組も、これまでの意地を見せて、個人技から得点を狙って欲しかったものです。
プレーの内容、決定的度ではペルー、日本はボールが回る割には、決定的なシーンが少ない、中盤のスペースがないので、相手の裏を狙う姿勢は良い、個人突破の分があるのでまずまず、というのが前半のまとめでした。
後半これをどれだけ改善できるかということでしたが、同じようなセットプレーからの得点で、実質的にゲームが決まり、羽生までの交代はさらなる得点を狙うことだったように感じましたが、それ以降は新しいメンバーの顔見世として終わったという印象です。 久しぶりの日本代表の試合としては、評点6.0としましょう。
日本代表は進化しているのか、と質問されると、欧州組が入ってまたチーム構築の初期段階に戻ってしまった、しかしボールポゼッションの向上とセットプレーのオプションは付いている、そしてバックアップのメンバーは充実していると答えます。 ジーコジャパンより期待しているのは間違いありません。
何度も繰り返しますが、オシムジャパンが目指すべきゲームは初陣のトリニダード・トバゴ戦でしょう。初めての試合で一度できたこと、試合終了間際に出場していた選手たちがその意図を理解していたようなので、決してできないことだとは思えませんが。

この試合のMVPは中村俊輔選手でしょう。準MVPは高原、あるいは駒野はアグレッシブで良かったです。今までジェフやレッズの選手を多用してきましたが、今後欧州組を含めて、レギュラー争いがますます厳しくなりそうです。これは日本の競争力の向上に必ずやつながるはずです。

2007年3月15日

マレーシア代表(U-22) 対 日本代表(U-22) @マレーシア

フジテレビの深夜に90分の編集版で放送されている扱い通り、北京五輪代表は、はっきり言ってつまらないです。選手は頑張っているとは感じますが、その努力も何だか空回り気味で、まるでJ2の湘南ベルマーレを見ているようです。実力的にも、J2上位くらいではないでしょうか。せっかく期待のホープばかり集めているにもかかわらず、反町監督は彼らのポテンシャルを十分に引き出しきれていないという印象です。
このチームはとても北京オリンピックに出場できないし、オシムジャパンとの互換性もよくわからないし、反町監督が短い準備期間で彼のコンセプトを植え付けられるかはやや疑問があります。反町監督が求める内容が選手に十分に理解されず、選手も戸惑っているのかもしれません。彼は難しい言い回しで難しい内容を伝えて、ただの自己完結に終わっているのでしょうか。

アウェイとかピッチコンディションとかアジアのレベルの向上とかともかく、それらを所与として、自分たちがどのような試合を展開して勝ちたいのかがいまいち伝わってこない内容でした。
有効な攻撃手段としては、サイドアタック(クロスはなかなかだった)、平山のポストプレー、あるいは単純に1対1で勝負してもごり押しのパワープレイでも分があったと思います。とにかく気になったのは、スペースにパスを出したらそれで終わり、という連動性のなさでした。 そして最も試合をつまらなくさせている原因は、ペナルティ・ボックスに進入するのを攻撃の時に恐れているように見えることです。このようなよそよそしい攻撃は、最も守りやすく何のプレッシャーも与えない最悪のレベルです。
監督に小難しいことを言われようが、ピッチで戦っているのは選手なんだから、自分たちでもっと考えて、何が相手に嫌がられるかをもっと実行すべきでしょう。このチームはあまりに迫力不足です。

MVPをあえて挙げれば、李選手でしょうか。彼は在日コリアンということで、日本にアピールしたいという意欲があったように見えました。洪明甫(ほん・みょんぼ)が彼の著書で、2002年のワールドカップで韓国がベスト4を記録したことについて、サポーターに敬意を表するとともに、日本人選手が誰かのために戦うという気持ちが希薄であると述べていました。
李選手の姿勢でも、この話でも何かのきっかけで、このチームのポテンシャルが開花することを期待しています。

2007年3月9日

みんなありがとう!

釜山から帰ってきて、若干ホームシックというかカルチャーショックになりつつも、すでに引越の片付けに追われる日々です。私はあまり環境の変化に適応性がないのか、何となく引越作業は好きになれず、どうもはかどりません。

大学院生は普通忙しいはずです。しかしそんな中でも、最近何人かの友人が私のために送別会というか、食事にでも行こう、と誘ってくださり本当にありがたい限りです。みんな勉強があるはずなのに、私のために時間を割いてくださるので、感謝の気持ちでいっぱいです。大学院に来て、非常に友人に恵まれていると実感します。もちろん実務でもこのような人間関係が築けるよう努力します。

私は東京勤務で、それぞれがそれぞれの道に進みますが、これが永遠の別れでもなんでもなく、会いたければ会えばいいじゃん、と思っている方なので、皆様の上京をお待ちしております。

それにしても、大学院の2年間はアクセル全開で突っ走ってきたため、この春休みは韓国旅行も含めてじっくり休もうと思っていました。今は完全にエンジンを切っています。そのあまりのギャップのせいなのか、人生がぬるいように感じられます。だらだらやってもてきぱきやっても時間は同じように過ぎていきます。四月からの勤務に向け現在はリハビリ中といえばそうかもしれませんが、またハードワークの日々に戻ると思うとちょっとぞっとしますね。
早く気持ちが切り替えられるよう、とりあえずLevittの論文を2つほど印刷してきました。来週ようやく論文を読む時間が取れそうです。早く相撲の話を更新したいです。

土曜日に大阪を去ります。関西の皆さん、ありがとうございました。関東でも笑いを取ることを忘れません。

2007年3月6日

クラシックが良い

自分のリサーチ不足も多分にありますが、何よりロックに目新しさが感じられなくなり、面白くなくなってきました。私は音楽がないと活動できない人間なので、これは一大事です。

というわけで、韓国でも探していたブラームスのCDを梅田のヨドバシカメラで買いました。
http://www.universal-music.co.jp/classics/release/dgbest1000/index1000p2.html
ロストロポーヴィチ/ブラームス:チェロ・ソナタ集 CD:UCCG-5129
ブラームス:チェロ・ソナタ 第1番 ホ短調 作品38、チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 作品99ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)、ルドルフ・ゼルキン(ピアノ)録音:1982年7月 ワシントン デジタル録音

非常に癒されます。 モーニング・ミュージック、読書や掃除のBGM、デスクワークの友、寝る前のリラックスのためなど、日々重宝しています。

現在クラシックを研究中ですが、すでに十分に確立されたエンターテインメントといって間違いないので、若干敷居は高いかもしれませんが、その後の攻略は比較的容易な気がします。これは格闘技のボクシングに通じるものがあります。
ブックオフなどの古本屋では必ずクラシックコーナーがあり、図書館(平塚市中央図書館調べ)に行けば無料で借りられ(在庫もかなり充実しています)、インターネットの情報も充実しています。しかも、クラシックに関する入門書や解説書も山のようにあります(平塚市中央図書館調べ)。
クラシックは新しく音源が作られることはないので(クラシック入門、リラックスベストといったcompilation盤のようなレコード会社の陰謀を除く)、有名な演奏者(○○フィル・ハーモニーなど)を中心に有名な作曲家(音楽の授業で習った誰でも知っているような音楽家)の音源をたどっていけば、まず外れはないように思います。 前の彼女はクラシック畑出身だったので、教えてもらえば良かったと思っています。

今はクラシックの何が良いとかよくわかりませんが、とにかく勉強に集中するためのBGMとして非常に気に入っているので、詳しい方はクラシック攻略法をロック畑の人間にもわかるように教えてください。

無事帰国しています

先週の土曜日に無事帰国しました。今回で4度目の海外旅行、二度目の釜山でしたが、今までの旅行の中で最も印象深いもの、といっても過言ではない旅行ができたと思っています。何となく自分の感性も少し変わったかな、自分でも気がつかなかったポテンシャルが開花したかな、という妄想がないでもありません。その証拠に(?)、帰国後なぜかクラシック音楽が聴きたくなりました。

大学院の2年間は軍隊のように非常に厳しかったので、人間らしい感覚や感情も忘れてしまいました。なので、今回の旅の目的は、しっかり休んで社会復帰に向けて人間性を取り戻すことでした。おそらくそれは十分に達成されました。逆に軍隊らしい厳しさを忘れて、ぬるま湯につかっているような感じがしないでもないです。大学院の友人には、修士は忙しかったしそれくらい休んだらええやん、と言われました。確かにそうですが、個人的には学業に夢中になっていた時間が恋しい気持ちもあります。

ホストファミリーのパソコンは日本語がタイプできなかったので、私のノートパソコンに旅行記のドラフトが保存されています。近々清書して公開予定です。

そういえば、今月から国際線の手荷物で液体物の持込が厳しくなりました。(詳しくはこちら
3月最初の土曜日ということで、私の前後でも女性の化粧品(男性にはよくわからないようなこまごましたもの)の類がやたら引っかかっていました。幸い私は男性ということでその手の液体物はほとんどありませんし、全てスーツケースに入れていたので大して問題になりませんでした。
Gim Hae空港の手荷物検査で、韓国人旅行者が「何でキムチは持ち込めないんだ! 誰でも食べるだろう!」(韓国語はわからないので、私の想像)と叫んでおり、職員が「規則は規則ですから…」(これも私の想像)となだめておりました。また、日本人女性がまくし立てるように「このサイズなら確かに手荷物として持ち込めるのに~、普通の化粧品なのに~」と激しく主張していたら、韓国人職員もそのあまりの勢いにたじろいだのか、「わかりました。お客様のお荷物は安全(あんじぇん、と発音)です。」と適当に通していたのが面白かったです。
国際線に乗る際には、皆様もご注意ください。

2007年3月1日

旅行五日目 3/1

8時起床
早いもので、もう韓国滞在五日目である。
韓国語の勉強とホストファミリーの温かいご指導のおかげで、ハングルがようやく記号から文字に見えてきた。
夕方、Kyoung Juneさんが西面で働いているにもかかわらず、わざわざ沙下まで迎えに来てくださり、再度西面に向かった。NIKEショップで韓国代表のユニフォームを買うためだ。
西面は日本でいう原宿や渋谷みたいなところで、非常に人が多くごみごみしている。実際にポイ捨てがひどかったり、やたら屋台が多い(なぜかたこ焼きもあった。)ので、これぞカオスといった印象を受ける。ただ、釜山を旅行する日本人が少しお洒落な買い物をするならば、ここに来るのが良いと思う。というか、他に選択肢が少ないかもしれない。
昨日までの話では、私が韓国代表を応援する赤いTシャツを買う予定だったような気がしないでもないが、結局彼がホームの韓国代表のオフィシャル・ユニフォームをプレゼントしてくれた(朴智星の名前と背番号入り)。確か85000ウォンだった。白いパンツ(下のズボンのこと)が欠品ということで、インターネット・カフェで別のスポーツ用品店を探し、何件も電話してくれた。それでも見つからなかったので、「では、アウェイの白いユニフォームを買いましょう」という話になった。しかし、さすがにそこまではまずいし、また日本人が日本代表のユニフォームを一枚も持っていないのに(Tシャツはある)韓国代表のオフィシャルユニフォームを2枚も持っているのもどうかと思い、丁重に断らせていただいた。
彼には、日本で格闘技が流行っているので、今度は私の家に泊まって下さいと話した。しかし、彼は兵役の代わりにパブリック・サービスに従事しているせいで、2009年2月まで海外旅行に行くことはできないとのことだ。すぐに日本の招待して、後楽園ホールに連れて行こうと夢見ていた私は絶句した。
その代わりに、韓国では入手が難しい日本の格闘技グッズをプレゼントすることを約束した。そして実際に山本KIDのTシャツをプレゼントした。

その夜は、Chun Aeさん(と彼女の次男)と彼女の同僚のHee Jooさんに焼肉ディナーに招いていただいた。毎日のように焼肉を食べているような気がしないでもないが、これが韓国式の歓迎の方法なので、これほどありがたいことはない。
韓国は日本の隣の国だからなのか、釜山が日本に近い都市だからなのか、それとも私の韓国における人脈が特殊だからなのか理由はよくわからないが、Hee Jooさんも日本語がぺらぺらだった。おそらく彼女は私より少し年上で、私の前の彼女と同じくらいの年齢(28か29くらい)に思えた。Kyoung Juneさんが勇気を出して(無神経で?)年齢を聞いたら、怒られてしまった。女性の年齢は韓国でも聞いてはいけないようだ。seniority systemは韓国において非常に重要だ。
彼女は日本に六回も(!)旅行したことがあり、日本人の友人の家に半年くらい居候(?)の長期滞在も経験しているらしい。そして、韓国が寂しくなったから帰国したとのことだ。
次の日に彼女と彼女の友人に連れられて慶州に行くことになった。相手はカップルらしく、事実上のダブルデートなので、若干後悔した。しかし、慶州は昔の新羅で、日本でいえば京都のような場所だ。最近の私の好みがクラシックな物ということもあり、ぜひ連れていってもらうことにした。

焼肉歓迎終了後、Leeさんの祖父母に会う。私は日本酒などのお土産を渡し、またもやたいそうな歓迎を受けた。祖父母は日本での生活が数年間あり、戦争の前には日本の学校にも通っていたらしい。しかし、朝鮮戦争の徴兵のためにやむを得ず韓国に戻り、今に至るらしい。おばあさんも日本生まれなので日本語を話せるが(若干忘れている)、おじいさん(はらぼじ)の日本語は、私の知る限り、最強の部類である。最近のカタカナ言葉には弱いが、発音なども完璧で、日本人にしか思えなかった。
彼は日本がとても住みやすい国だと何度も繰り返し、日本人が礼儀正しいことに非常に深い敬意を抱いていた。経済的な豊かさの差を考えれば、韓国人は日本人をもっと見習うべきだ、とはっきりと言っていた。一般に、どこの国でもお年寄りこそ他の価値観を認めたがらない傾向にあると思う。しかし、彼は日本を心から尊重し、今でも日本語を話すことにこだわり、彼の心は日本にあるように思えた。
外国人にこれほどまでに日本をほめられることを聞いたことがない。フローラン・ダバディ氏の言葉を借りてこの気持ちを表現すれば、本当に腰が抜けそうになった。 単なるミーハー・レベルの親日家ではなく、実際に日本語を流暢に話し、外国にいながら日本を理解しようとする外国人がいるとは、夢にも思わなかった。
23時過ぎまでそんな話を続けた。飼っている犬(ぱぐ)が匂いの違う日本人に興奮したのか、ずっと私の周りをグルグルグルグル走り回ってほえ続けていた。そのせいで、お孫さんはちっとも眠れなかったらしい。
韓国では日本の衛星放送が普通に映る(視聴料金はどうなってるんだろうか)。彼は日本のNHKの喉自慢番組が大好きだそうだ。彼は京都に行きたいのだが、残念ながら足の具合が悪いせいで、残念ながら遠い日本までは来られないらしい。近い将来私が彼らを京都に招待して、温泉でも入りながらそんなテレビ番組を見てのんびりさせてあげたい。長生きしてください。

2007年2月28日

旅行四日目 2/28

8時半起床。
朝ごはんを食べ、ホストファミリーと一緒にHadanの図書館に行く。
Hadan図書館(どんさがん)は平塚市立図書館と同じくらいの古さで、それほど日本の図書館と違いはない。ただし、地下一階がレストラン兼カフェ(お洒落な雰囲気はない)になっていて、弁当を持ち込んだり、ビビンバを注文して食べたりと、図書館なのにエネルギッシュではあった。
なぜか子供たちが日本語を学び、私が韓国語を学ぶ設定になっていた。ホスト・ファミリーは全員で日本語コーナーを探して、何冊か日本語の本を借りていた。私も図書館で日本から持参した韓国語の入門書を少し勉強した。
帰り道、私は車のナンバープレートを見て、「ま」とか「た」とかを発音して、韓国語の練習をした。そのたびに、家族の誰かしらが立ち止まってアドバイスをくれた。しかし、違法駐車天国の韓国にはあまりに車の数が多く、まだ私が覚えていない文字も少なくなかったので、ちっとも前に進めなくなってしまった。よって、途中で挫折する。
ランチは近くのお店で麺類(冷麺)を食べる。約500円と安くて量が多く、美味しい。
帰宅してから買い物に連れて行ってもらい、市場でお土産用にするめなどの海産物を大量に買う。計47000ウォンも買い、この旅行最大の買い物をした。
帰宅してから、次男(7歳)に韓国語の発音を学び、発音テストを監修してもらう。韓国語の発音はどことなく中国語と似通っている部分があるが、文法的には日本語と非常によく似ているので、日本人は単語を覚えてしまえば何とか韓国語会話ができてしまうと思う。ただし、はじめのうちは、発音とハングルがとっつきにくいかもしれないが。
夕食はLeeさんのお宅で3家族、合計9人が集まって食事をした。Lee家は、熊本県で一年間生活したことがあって、実はあまりキムチのような辛いものが好きではないらしい。彼女の作る料理は、薄味の日本食を思い出させた。何だか日本に帰ってきたような気分になった。
先日Zim Chil Bangに宿泊したことを話して、日本と韓国のプライバシーの感覚について話した。たとえば、韓国の一般的な家は、玄関を開けるとリビングが丸見えになっていることが多い。一方の日本は、プライバシーを重んじるため、見えない作りになっていたり、カーテンなどで中が見えないようになっていることが多い。私は長らく一人暮らしをしてきて、特にこの2年間の大学院はまともな人間関係がないくらい勉強が忙しかったので、Let me alone(一人にしてください)という気持ちになった、と彼らに話した。
我々子供世代は、私が日本から持ってきた電子ダーツで遊んだ。李ファミリー対金ファミリー(プラス私)の対抗戦をした。ダーツをやるには広いスペースが必要だ。李さんのアパートは比較的広いが、ダーツを設置する手ごろな場所がなかったので、先祖代々伝わっていそうな額縁(何か重要そうな言葉が書いてあった)を外し、そこにダーツをセッティングした。ご先祖様に対して無礼な気がしたが、他人の家なので黙っていた。
ダーツは大人の遊びだと思っている。実際小学生にはダーツの投げ方が難しいのか、野球のボールを投げるように振りかぶって投げてしまうので、なかなか正確に的に当たらない。子供たちにダーツの投げ方(土台をしっかりさせるようにひじを固定して、ひじから上だけをぶれないように振りぬき、ダーツは必ず一定の決まった場所で放つ)を教えたものの、12歳でもなかなかその動きは理解できなかったようだ。
501といったダーツらしいゲームをやろうとKyoung Juneさんに言ったが、それは子供たちには無理ということで、普通にカウントアップ(300点とか決められた点数に早くなった人の勝利)で遊んだ。このルールで4戦して我々の3勝1敗だった。子供たちがそれほどうまく投げられたわけではないものの、家族対抗戦ということもあって、このゲームは非常に盛り上がった。このプレゼントは大正解だった。やはり娯楽に乏しい韓国では、日本のおもちゃは受けるのだろう。
そして、次の日からKyoung Juneさんは毎日のようにダーツを投げているらしい。またいつか対戦しましょう、という約束をした。彼がダーツを気に入ってくれたのはとても嬉しいが、例の先祖代々伝わっていそうな額縁がどうなってしまったかは私の知るところではない。
一方の母親世代は、我々がダーツを投げている間に、3人で何をしていたかというと、食事の片づけをして、何か真剣に話し込んでいた。私は子供のことでも話していたのかと思っていたが、どうやら私が"Let me alone"といった感覚について、日本に滞在したことのあるLeeさんから話を聞いていたようだ。私の「一人にして」という言葉は想像以上に彼女らに衝撃的だったらしい。
今思うと、私(日本人)がそんな感情を持つのだということを知って以来、ホストファミリーのお母さんも少し行動が変わったような気がしないでもない。私が論文を読んでいたり、ハングルを勉強している時には、そっとしてくれていた。それでも、私がハングルで間違った発音をすると、隣の部屋から大きな声で訂正してくれた。何だか、ますますゲスト扱いになってしまったような気がした。
明日はChun Aeさんのお宅でディナーをご馳走になり、その勢いで泊まることになった。それほど大きくない家に祖父母、彼女、子供二人、私の合計6人(プラス犬一匹)が眠るらしい。彼女は私が先ほどプライバシーについて触れたことを心配し、騒々しい場所だから無理しないで来なくても良いのよ、とおっしゃっていた。
韓国の子供はみんな元気だし、日本に帰ればまたすぐに一人暮らしが始まる。さらに、誘っていただいたのは彼女のお父さん(我々の世代からすれば祖父)であり、彼は日本語も喋る大の親日家だということだ。私はそんなお誘いを受けられること自体がありがたいことだと思うし、今脳卒中で植物人間状態の祖父に恩返しができなかったことなど、断る理由が全くなかった。

2007年2月27日

旅行三日目 2/27

移動距離が長くなりすぎたので、大事をとって本日は休む。
9時半起床、その後家族と団欒する昼に私が大阪駅で買ったお好み焼きとねぎ焼きのセットのうち、お好み焼きを作る。ここのお母さんは英語も日本語もできないものの、勘が鋭く、写真を見るだけで大体の料理の工程は理解してしまったようだ。最終的に私が必要な材料を翻訳しただけで、彼女はほとんど問題なくお好み焼きを作ることができた。
キャベツとネギをカットし、粉を混ぜるという作業は我々子供たちが行った。お好み焼き本体をひっくり返す作業をお母さんに担当してもらったが、非常に手際よくこなしていた。2枚のお好み焼きを作り、子供たちにも喜んでもらえるクオリティのお好み焼きができた。実は、出発前夜は母親とねぎ焼きのやまもと大阪EST-1店で食事した。それに勝るとも劣らない味だったと自負している。
基本的に韓国人の主婦は非常に謙虚というかいわゆる尽くしてくださる女性だと思う。まずは子供たち(私も含めて)に食事を食べさせ、それが終わってから一人で食事を始めることが多いのだ。私は一緒に食べましょう、とか、片づけを手伝おうとしたが、いずれも強く断られてしまった。彼女たちには私利私欲とか欲求というものがないのだろうか。唯一知っている情報が、彼女は揚げ物が好きだということだった。何かしらそれでお返しをしたいものだ。
午後から、インターネットで日本の文化(?)を教えようと、youtubeを引いてみる。なるべく日本語の壁を感じないようなものを探してみた。
まず、手始めにわかりやすそうなレイザーラモンHGを子供たちと一緒に見た。予想通り、かなり受けた。次男の方がHGをあまりに気に入ったのか、それ以来腰をカクカクさせて、フォーフォー叫ぶようになってしまった。私も面白かったし、長男の方も面白がっていたが、お母さんはあまり良い顔をしていなかった。これは私の責任だろうか。
次に、ガレッジセールのゴリが落武者というダメキャラを演じるコメディ(?)を思い出して検索してみた。偶然にも韓国編があった(こちら)。
(以下ネタばれなので、この番組をご覧になってから読んでください。)






タゾーっ(5!)と叫ぶところも爆笑だったが、子供たちが一番笑っていたのは上官に対して「あいげっさー(わかったか!)!」と発言した時だった。
韓国は日本以上に厳しい序列社会で、目上の立場の人に対して(学生にとって先生、子供にとって親など)失礼な言葉遣いをすることは、まずありえない。特に年長者を尊敬することは(おそらく世界各地でそのような考えがあるにせよ)、韓国では極めて重要なことであり、これができないと韓国の生活に著しい支障が発生する可能性があるくらいだ。 後でお父さんにもこの動画を見てもらったが、兵役を経験している人からすれば、こんな無礼な言葉遣いは絶対にありえないと言っていた。だからこそ面白いわけだ。
また、日本人(この場合ガレッジセールのゴリ)が韓国語を話すということに対しても、彼らは非常に強い関心を持っているのではないか。
日本人にとって、いわゆる外人(見た目が我々と違うアメリカ人など)が日本語を話すと、我々は好奇心をそそられるものだと思う。日本人以上に日本語の上手な外国人もいるし、これはある種の偏見なのかもしれないが、日本人は概して非日本人が日本語を話すことを嬉しく思うものだ。
韓国人にとって、いわゆる日本人が韓国語を話すことはこれ以上に興味深いのかもしれない。我々がアメリカに対してひそかなコンプレックスを抱いているのと同じように、韓国人もまた日本に対して何かしらコンプレックスを持っていたり、暗にお隣の日本は自分たちより豊かな国であることを実は認めていると感じることがある。


その後、子供たちとサッカーをする。彼らの住む団地の隣が彼らの通う小学校で、そのグラウンドを勝手に日本人が走り回っていた。といっても、3人しかいなかったので、軽くボールをけって、シュートの仕方を教えたりしただけだった。
長男が塾の春期講習みたいなものに参加しているというので、お母さんがレンタルビデオ屋(DVDではない!)に行きましょう、と提案した。日本のアニメーションを借りようということで、もののけ姫をレンタルした(確か1000ウォン)。私は数回見たことがある。これが正規品なのかどうかよくわからないが、なぜか上下巻の2本セットだった。次男はやや難解なテーマということで、途中で飽きてしまったようだ。
夜はお父さんが早く帰宅したので、結婚のことをつっこむ。新婚旅行は済州島(韓国では新婚旅行のメッカらしい)に二泊三日で行ったらしく、当時の写真を見せてもらった。お父さんは結構ハンサムで、お母さんも結構美しい女性であることがわかった。ちなみに、今私の叔母が済州島に興味を持っており、私もぜひ行ってみたいと思っている。
私は英語で、お父さんに「彼女と初めて会った時に、将来自分の嫁さんになると思いましたか?」と聞いた。お父さんは「いや、全然!」とそっけない返事だった。「どうして彼女をお嫁さんにしようと思いましたか?」という質問に対しては、「美しく、料理が上手だから」と答えた。今度は逆に私が質問を受け、「どんなお嫁さんがいいの?」ということで「美しくて料理が上手な女性がいいです」と答えると、ジョークで「じゃあ日本につれて帰って良いよ」と言った。
そして、最初はどちらから誘ったのですか、という質問をすると夫婦で意見が一致せず、長らく夫婦間で韓国語のやり取りが続いた。この会話の基本的なスタイルは、私が英語で質問して長男が通訳をするというスタイルを採用していた。しかし、韓国語でもこの議論に収拾がつかなかったため、長男も混乱して「ah, difficult, difficult. No one knows」(難しくて、誰もわからない)としか訳せなくなった。
この結婚の話は、家庭を大切にする韓国の夫婦ならば、きっと快く話してくれるトピックだと思っていた。実際そうだったのだが(特にお母さんはそうだったように見えた)、少し昔の話なので、お互いの記憶に違いがあり、案外期待した返答がなかった。外国人との会話はなかなか難しい。他にも、お父さんに人生にとって重要なことを聞き、「家族、お金、仕事の順だよ」と言っていた。
お父さんは必ずしも英語が堪能ではないが、私の英語を思い込みで答える傾向があり、何度か答えが意味不明で通訳が必要なこともあった。英会話を勉強する日本人も、彼の度胸くらいは少しくらい学んだ方が良い。完璧な英語を喋るよりも、必死で伝えようと単語を並べるだけでもはっきりと伝えることで、英会話は何とかなったりするものだ。

2007年2月26日

旅行二日目 2/26

近くの人のいびきがうるさかったが、そこそこ良く眠れる。別室にsnore room(いびきの間)という部屋があって、いびきをかく人は、本当にこの部屋で眠らなければならないらしいらしい。しかし、実際そんな細かいことを気にする場所でもないと思った。
食事は有料で、5000ウォンくらいで文字通りおなかがパンパンになるくらいまで食べられる。朝もビビンバ定食を食べた。韓国旅行で思ったことだが、米はやはり日本米が一番うまい。もっとも、韓国では白米を食べるよりもビビンバのような炊き込みご飯を食べることが多かったが。
そして7:50分の電車に乗るために駅に向かう。約一時間の乗車でわずか1400ウォン(140円、JRの十分の一くらい!)しかかからなかった。日曜日ということで車内は空いていた。ソウルから離れるにつれ、華やかさもなくなり、次第に夕方のニュースでやっている北朝鮮のような風景に近づいてきた。

Dorasan(都羅山)駅到着
ソウルから56キロ、平壌まで205キロの駅に到着した。ツアーが始まるまで、この駅で待たなければならないのだが、はっきり言って、田畑というか土地しかない場所だった。お土産を買おうにも、コンビニは休みだし(祝日なのになぜ? 閉店?)、自動販売機で飲み物しか売っていない。東北地方か北海道のど田舎みたいな感じがした。
この駅はおそらく軍か国によって厳格に管理されているのだろう。なぜか公衆電話がない。ひょっとすると、怪しい行動をすると逮捕されるかもしれない。このツアーに参加するチケット(11400ウォン)を買う時に、身分証明書(私の場合パスポート)を提示しなければならない。そして、それにパスすれば一人一人チケットを渡され、ネックストラップでそれを吊るす形になる。その後、プロの軍人が再度IDチェックとボディチェック(空港と同じようなチェック)を経て、北上するための専用列車に乗る。すでに、窓から見える風景はテレビで見たことのある北朝鮮そっくりである。この電車を降りてから、下手に写真を撮るのはまずいらしい。とりあえず、ここはおとなしくしておくことにした。
このツアーのサービスにはこの電車代も含めて、バスとガイドの費用が含まれる。日本で言うバスガイドさんはおらず、若干無愛想な運転手が運転しながらガイドも兼ねるというスタイルだった。Kyoung Juneさんいわく、この辺はあまり説明するものがないため(確かにそうだ)、運転しながらでもできるということである。
私が見た限り、このツアーに参加していた日本人は私だけだった(もしかすると中国人がいたかもしれない)。後で第三トンネルで外国人(欧米人、南米人)を見ることもあったので、おそらく彼らは外国人が参加する向けのツアーに参加していたようだ。このツアーは私営企業が企画しているわけではないので、どことなく軍隊のにおいがする、というか軍隊である。スケジュールは非常にハードで、ゆっくり観光もできやしない。日本でこんなことをやれば苦情が殺到するような忙しさだった。
38度線沿いは基本的に非常に殺風景である。人が住むエリアではないため、荒地という表現がふさわしい。観光ガイドでは、この国境周辺はさまざまな種類の野生動物が生息しているらしい。その理由はおそらくただ単純に人が住んでいないからだろうが、やたら誇張しているのが朝鮮中央テレビっぽくて記憶に残っている。
いずれにせよ、ここは間違いなく私が日本で見ることができない場所であり、テレビで見る雰囲気とは違った独特の緊張感が漂っている。軍人がツアーに参加し、手伝いをしているなど、日本のすぐ近くの国で全く異なる経験ができるのは貴重だと思った。
空港から車で送迎されている時にSo Yangさんに、「どうして38度線に興味がありますか? 日本人がそんなことに興味があるとは思いませんでした。面白いですね。」と言われた。確かに、観光地らしい華やかさは全くない。むしろ戦場に近い環境に触れられるのが面白いかもしれない。私の祖父(第二次世界大戦を経験)だったら喜ぶだろうか。

南進第三トンネル
ここで、この観光地(実際は平和に見える戦場だが)の紹介のビデオを見させられる。なぜか日本語での通訳サービス(ヘッドフォンのレンタルがあり、日本語訳が流れる)があるので、日本人の観光客も少なくないのかもしれない。このショート・フィルムは、なぜこのような国境ができてしまったのか、というある種の大河ドラマみたいな内容だ。韓国戦争(日本では朝鮮戦争と習う。詳しくはこちら)の貴重な映像や離散家族など、非常に興味深い内容だった。この映画は結構金がかかっており、ナレーションも映像もなかなかのクオリティだった。冬のソナタより面白いはずだ。
Kyoung Juneさんは北朝鮮が作った4つのトンネル(韓国に侵入するための地下通路)にショックを受けていた。「どうして北朝鮮はそんなことをするんですか」と嘆いていたが、博物館によるとそんなものを作ったのは世界でも北朝鮮だけだということだ。その意味では、確かにそんなことを考え付くのも、ましてや実行にうつすのも北朝鮮だけなのだろう。ちなみに、この博物館も日本語の翻訳があるので、韓国語ができなくても心配はいらない。
実際に第三トンネルを歩いて、古いジェットコースターみたいな乗り物で進む。インディジョーンズみたいな感じだが、進行方向に対して後ろ向きに座らなければならない場合もあり、安全のためにヘルメットの着用が義務付けられており、かつトンネル内はジメジメしていて暗いため、観光地らしい雰囲気ではなかった。
この後バスでコンビニみたいな場所に行き、ランチを食べ、お土産を買う。海鮮鍋のようなものを食べた。何となく父の実家盛岡市の古い食べ物みたいな感じがした。

オドゥサン第一展望台
厳格に管理された場所から、望遠鏡で少しだけ北朝鮮を見ることができる(有料)。確かジャニーズの嵐の誰かがここに来たことがある。繰り返すが、本当に殺風景な場所だ。本当に何もないので珍しいといえばそうなのだが、何もないものを日本人が金を払ってみたいと思うかと言われると多少返答に困る。ただ、この緊張感が特別であることだけは確かだ。
この展望台でのわずかな時間を終え、バスに乗っているといつの間にか「ツアーに参加してくれてありがとうございました」といった終わりのメッセージがバスガイドから伝えられた。板門店(国境ぎりぎりの村)に行かなかったことに気が付いた。これは次の来韓国時に行くことにする。

釜山到着
ソウルでホストファミリーのお土産を買ってから、KTXで釜山に戻る。帰りに、Kyoung Juneさんに韓国語でも擬音語は二回繰り返す(うさぎの「ぴょんぴょん」は「かんちゅんかんちゅん」というらしい)ことを教わる。中国語でも確か似たような言葉があるらしいので、また東アジア語の共通点を発見した。
Kim家のお父さんが釜山駅まで迎えに来てくれ、家で一緒に食事をする。ソウルから帰ってくるとなぜか長男の英語が信じられないほど達者になっており、通訳としてはほとんど問題はなくなっていた。これが国境を見てきた男のすごさなのだろうか。お父さんの軍隊時代のことや、38度線の雰囲気や私の大学院生活などを話して、まあまあ盛り上がった。
この二日間で約1500キロ(大阪→釜山→ソウル→釜山)を移動し、案外疲れた。Kyoung Juneさん、時刻表を調べてくれたり、新幹線車内でのトークや通訳など全てにかむさはむにだ。

2007年2月24日

旅行一日目 2/25

日本出発
5:30起床する。堺駅までタクシーで5分、680円、そしてラピートβで約50分弱で関空7:20くらいに到着する。関空までの交通費が馬鹿にならず、格安航空券のメリットが全くなくなり、デメリットしかなかった。そういえば、ホテルでホストファミリーに電話した時の国際電話料金を支払ってなかったのを今思い出した。

釜山到着
無事に到着する。たった一人の日本人が来るというだけで、私が以前お会いした全ての家族の誰かしらが送迎にいらっしゃった。一体私は、彼らのどんな親戚だというのだろうか(ただの赤の他人の日本人に過ぎない)。運転手のLeeさんだけ日本語が堪能だったのだが、私が日本語で質問すると、私の方に顔を向けて真剣に話を聞いてくれるので、何度も車線を越えていたり、後ろの車にクラクションをならされたりしていた。相変わらず韓国人の運転は危ない。
スーツケース総重量19.4kg(エコノミークラスのリミットは20kg)の大部分のお土産を渡す。トトロのお土産(置き時計などの可愛い小物類)は予想通り受ける。基本的に、日本のおもちゃ付きお菓子(お菓子付きおもちゃ?)のような可愛らしいお土産の類は韓国で非常に受けが良いと思う。少し休憩してからランチにポークリブ(でじかるび)をご馳走になる。大衆焼肉食堂みたいな日本にはない感じのお店で、たらふく肉を食わされる。にんにくや香辛料をたくさん使っているせいか、食べ終わるとなぜか元気が出てきた。これが焼肉の魔法なのかもしれない。
このお店ではアイスクリームが無料らしく、Chun Aeさんの子供Hyonongがアイスクリームをよそってくれた。彼は英語も日本語も得意ではないが、気が利いていたし、愛想も良かった。まるでプロのアイスクリーム屋みたいだった。

ソウルへ
その日の夕方、Leeさんの長男Kyoung JunさんとKim家の長男Sung Junさんと一緒に38度線の旅行のため、釜山駅からKTX(韓国の新幹線)でソウルに向かう。日本の新幹線より安いし(割り引いて4000円ちょっと)、揺れも少なくはっきりいって快適だった。ほぼ同じ距離の東京と大阪を新幹線で移動すると、3倍くらいかかる。もし私が釜山に住んでいれば、毎週ソウルに遊びに行くことだろう。唯一の問題点は、韓国の子供は非常に元気いっぱい過ぎるので、その意味で車中は若干騒々しい。いたって健全なことなのだが。
Kyoung Junさんは21歳の大学生で、現在ソウルの大学を休学して、兵役の代わりに公共サービスに従事している。見た目は麒麟の笑われている方と私の友人の佐藤君を足して2で割ったような感じだった。とてもフレンドリーで日本語も英語も達者である。何と彼は総合格闘技好きということで、車中は趣味の話で盛り上がった。ぜひ彼を後楽園ホールに招待したい。
ほんの数分遅れるものの、無事KTXでソウルに到着する。宿泊先は旅館にしましょう、とKyoung Junさんが提案した。宿泊費35000ウォンを釜山から来たということを理由に、彼の交渉で値切って3万ウォンにする(理由になっているのかどうかもわからないが)。
旅館といえばそうなのかもしれないが、入り口に英語でMotelと書いてあった。日本で近いものといえば、ずばりラブホテルに違いない。部屋に入ると、明らかにカップル向けのダブルベッド(男同士でダブルベッドは嫌だ!)があり、セックスとドラッグのにおいがした。部屋のハンガーがハート型だったので、絶望的になった。ソウルから徒歩10分以内で、世の中にこんなに気の利いていないラブホテルがあるのかと思うと、ますます絶望的になった。幸か不幸か、Sung Junさんが未成年だということで宿泊をキャンセルされてしまった。
何だかんだでその近くのZim Chil Bangに宿泊する(有名らしいです)。韓国型の健康ランドというか、風呂付き総合宿泊施設のようなもので、日本で近いものはない。入場するとハーフパンツとTシャツ(ようは浴衣のようなもの)を着て、一日過ごすことになる。ソウルは東京や釜山よりも少し肌寒く感じられたが、セントラル・ヒーティングのせいなのか、30度ほどあって半袖短パンでも快適に過ごせる。
この建物は全5階からなっており、1Fが受付、2Fと4Fが風呂で、食事兼休憩所が3F、宿泊施設が5Fにある。宿泊施設といっても、簡易なベッドが100以上あり、それぞれ独立ではなく(少し仕切りがある)、多くの人が同じ空間で眠るという場所である。
プライベートの概念が全くないような空間で驚いたが、もっと驚いたのが3Fの休憩所で普通に寝ている人(雑魚寝)がたくさんいたことだ。男女も関係ないし、普通に通路でもあるわけだから、子供が走り回ってそれなりに騒音がある。テレビではニュースも放送されているし、食堂はすでに営業を開始している。そんな場所で大勢の人が眠っていることが信じられなかった。
Park Ji Sung(元京都の朴智星)がマンチェスター・ユナイテッドでプレイしていることから、韓国では彼の試合は全て無料で放送されているらしい。かなり大きな音量で試合が放送され、視聴者が声をあげて見ているにもかかわらず、人々は普通に雑魚寝している。韓国人恐るべし。
しかし、Zim Chil Bangの何よりも良いところは、ソウルから徒歩10分以内で休日大人一人10000ウォン(1000円!)と格安であることだ。東京駅から徒歩10分で10000円で泊まれる施設はおそらく皆無であろう。釜山に帰宅してから、ホストファミリーのお父さんにそのことを話すと、「ここなら7000ウォン(700円!!!)だよ」と言われる。
もしもう一度ソウルに行くことがあれば、ここに宿泊したい。ただし、日本人一人で宿泊するには、相当な勇気がいるはずだ。あまりにプライバシーの概念が希薄なので、合わない日本人は決して少なくないだろう。私も毎日ここに宿泊する気にはなれない。

2007年2月23日

釜山旅行記2はじめます

私が韓国に行った際にはあまりレートは良くなく、100円が750ウォンくらいでした。ただし、便宜的にここでは100円=1000ウォンと計算しています。総予算は80000円弱でした。しかし、日本からお土産を買って送ったので、10万円を超えました。

旅行の概要をまとめると、航空券だけ購入して、主にホストファミリーに1週間ほど滞在したお気楽旅です。片言英語でも喋ろうとする私の度胸も重要でしたが、何よりも韓国の皆さんのご好意がなければ、この旅は成立しなかったはずです。彼らに感謝の言葉を伝えるつもりで、私の旅行記を公開します。もし、この文章を読んで韓国に関心を持っていただければ、この上ない喜びです。

では、明日から一日ずつ公開していきます。

2007年2月22日

釜山に行ってきます、正式に

土曜日の関空9:30発の便で行ってきます。1週間後に帰国します。
関空集合が7:30とめちゃくちゃ早いです。池田市から行くにはほぼ始発の連続ということで、事故などのトラブルを避けるためにも、結局ホテルを予約しました。格安航空券を入手したにもかかわらず、あんまり意味なかったです。

基本的に地球の歩き方(2002年版)で釜山について情報収集していたのですが、現在インターネットで釜山と検索するとかなり優れた観光サイトが簡単に見つかりますね。これはすばらしいです。
今非常に興味あるのが射撃と温泉です。あと、韓国版新幹線KTXが開通していたらしく、これも乗ってみたいです。ソウルへのアクセスも格安(約5000円)ですし、3時間もかからないみたいなので、非常に楽しみです。これで南北軍事境界線の38度線に行くことが決まりました。

前回の来韓は自分がノープランに近い感じだったのでいろいろ迷惑をかけてばかりだったと思います。今回は自分が予習してきたことを伝えて、もう少し負担を減らせるようにしたいです。ただ、通訳は要ります。 自分の英語の不完全さがあるにせよ、英語はあまり通じないと思います。

一応自分のノートパソコンを持っていくので、このブログも更新できるよう努力はいたします。

2007年2月21日

日本代表(U-22) 対 アメリカ代表(U-22) @熊本

日本代表(U-22) 対 アメリカ代表(U-22) @ 熊本県民総合運動公園陸上競技場

実は初めて反町ジャパンを見ました。なので、簡単なコメントということでご了承ください。
はっきり言って、ここ数年見た試合の中でも相当つまらない部類でした。後半は半分寝ました。試合の評価は5.0です。現時点の実力では、レベル的にはせいぜいJ1下位以下と予想します。間違いなく五輪でメダルは不可能、山本ジャパンよりも見劣りする感が否めません。

平山を中央に2シャドーを置くという3-4-3が機能していないという印象です。シャドーが攻撃的MFのサイドアタックのふたをするような感じになってしまい、後ろから駆け上がるというシーンが少なかったように思います。平山に当ててからの攻撃の仕掛けが乏しいです。また、クロスの精度がずいぶん悪いと思います。
前半最初のチャンスで平山が2度決められなかったのも痛かったです。相手も立ち上がりに油断していたように見えました。ちょっとしたワンフェイクやアイディアで崩せる相手に見えましたが、そのような試みはほとんどなく、自分のストロングポイントを生かすような意図は不明です。平山ならば、ポストに徹するだけでなく、前を向いてヘディングでゴールを狙うのが向いているように思いました。
十分な準備期間が取れなかったせいなのか、コンビネーションはお互いいまいちでした。それでも日本の選手では個人技で戦おうとするアイディアもちらほら見られましたし、実際それでも何とかなったような気がします。しかし、それにしてももっとアグレッシブに仕掛けないと物足りなさが残ります。

ところで、筑波大学に入学した割には、平山のコメントにはさっぱり知性が感じられませんでした。足元も相変わらずおぼつかない感じもしました。自分のサッカーを真剣に考えることを放棄してしまったら、今後の成長は見込めません。

2007年2月16日

ゼミの送別会

大変ありがたいことにゼミの先輩が主催して、私らM2(修士2年)の送別会を開催してくださいました。自分としては、会いたければ連絡して会えば良いと思うので、単なる食事会の感覚で美味しい食事を食べただけでした。ただ、始まる直前にいろいろいじられて動揺してしまったせいか、先生に感謝の言葉をお伝えすることを忘れてしまったのは反省しています。
あと、自分のキャラ設定にどこかおかしいところがあったのか、いつの間にかいじられキャラとして笑われてきました。まあ自分の役割は果たせました、多分。

M2の一年間は、はっきりいってゼミ(修士論文)以外の何かにエネルギーを注ぐことはほぼ不可能でした。ゼミの先輩方にはこの一年間の私の発表のグダグダ加減も全てばれており、私がどれだけのパフォーマンスを残してきたかもわかっています。
毎回の発表時にはそれぞれ相応の負担がかかります。それは多分ドクターの先輩も同じだと思います。お互いが苦労してきたことをわかっているせいなのか、今のメンバーが解散してしまうのは、何となく寂しい感じがしました。ダサいのでそんなことを一人一人に確認しませんでしたが、おそらくその場の空気はそんなことを伝えていたような気がします。でも、みんな勉強に忙しいので、すぐにそんな空気は過ぎ去ってしまいました。
自分としては不本意な報告ばかりだったので、M3でリベンジしたいという気持ちもありますが、制度上やむを得ず卒業することになります。

最近急に勉強の義務から解放されてしまったからか、人生は平和でやることがないような空白を感じます。
自分としてはサッカー選手になれなかったので人生終わっているのですが、新しい仕事が夢中になれないものだったら、また空白の時間を過ごすことになるのかと思うと、何だか今の学術的な大阪の環境がとても恋しくなります。

釜山に電話しました

確認のために宿泊先の釜山のK家に電話しました。
私が「あにょはせよ ちょ・・・」と言うと、あちらのお母さんが「あ~Tさん(私の名前)」ということでなぜかすぐにばれました。今後流暢な発音を意識したいです。

長男のM君と英語で話そうとしましたが、あんまり通じませんでした。そしてそのM君から先ほどひどい英語でごめんなさい、とメールをいただきました。弱冠12歳にも関わらず英語で喋ろうとする度胸があるだけでも、私は相当なポテンシャルがあると評価しますけどね。

現在100円ショップを3件回って、池田市のコンビニ5件くらい回ってヒントを得たりイメージを膨らませて、お土産を探しています。
今日、お土産第一弾としてドンキホーテで電子ダーツセットを買ってきました。ダーツ本体は2999円と格安で、ついでに99円の電池も買ったので、あちらで遊ぶことができます。
ダーツは日本でも珍しいと思うので、韓国ではもう少し珍しいのでは、と思い買ってみました。ダーツならば家族で楽しめるし、盛り上がれるのでは、と期待しています。

だんだん旅行の実感がわいてきました。釜山は自分にとって第二、第三の故郷みたいなものなので、非常に楽しみです。

2007年2月15日

釜山に行ってきます、多分

引きこもり系のくせに、卒業旅行を言い訳に海外旅行に行ってきます。いくつか候補がありましたが、予算とスケジュールの関係で多分今月下旬に韓国(釜山)に1週間ほど行きます。以前釜山に行った時お邪魔した家族の長男(小6)が、新居に来ませんか、というメールを英語でくれました。文法的にはともかく、まだ12歳なのに英語でメールを書こうとする気合がすばらしいですね。

韓国式の歓迎なのか、私はあちらに宿泊しててかまわないそうです。もちろん私は無料で泊まろうとするせこい人間ではないので、いろいろとお土産を探しています。先日在日朝鮮人のC先生に電話したところ、日本酒、おもちゃつきのお菓子(キャラクターのお菓子)、スタジオジブリ、漫画・アニメなどが受ける、と教わりました。韓国ではお菓子が全般的に乏しいらしく、ましてやコンビニで売っているようなキャラクターグッズのようなものは珍しいらしいです。
あちらは日本に比べて、非常に教育熱心であるそうです。私が大学院生ということがわかると、かなり好意的な印象でした。私は出来損ないの大学院生の部類なのに、家庭教師として勉強を教えることになりそうです。自分も韓国語の教科書を買ったので、彼らに弟子入りします。

旅行の目的は、何といってもリラックスすること、といっても過言ではないでしょう。まだ詳しい予定は決めていませんが、38度線(さんぱるそん)かJejudo(済州島)かDongnae(とんね)などに興味があります。特に軍事境界線(さんぱるそん)は、C先生からも将来なくなるかもしれないと言われたので、見に行きたいです。私は多分前世で国境周辺で戦っていたので、私の昔の記憶がそれを求めていると感じます。
院生生活はあまりに忙しすぎて、心身ともに蝕まれます。少し充電しないと、順調な社会人生活を送れるかわかりません。 といっている一方で、今の勉強生活から離れるのも若干不安というか寂しい感じもしますけどね。

航空券などは未定というか、そういえばパスポートの住所を更新していなかったのでまずそこから開始ということになりました。先ほど池田氏の市役所に行ったら、本籍が神奈川にあることがわかり(免許証に書いてあったのに)、ようやくスタート地点に立った感じです。
ノートパソコンも持っていくので、韓国からもこのブログを更新したいです。このブログ用も兼ねて、いくつか読みたい論文も持っていきます。

2007年2月14日

TETRIS BLACK

携帯ゲームの基本テトリスです。 ファミ通風に評価すると8です。

「TETRIS」、「40LINES」、「ULTRA 2min」、「BLACK」の4つのルールで遊べるので、携帯の割には結構充実しています。以下、私のハイスコアです。

TETRIS
SCORE 633748
LINE 350
PLAYTIME 21:03
TETRIS 31
T-SPIN 3

通常のテトリスルールです。LV.1から始まり、高いスコアでクリアすることを目標としています。
LV.15クリア時の記録しか記録されません。非公式記録では確か2時間くらいやっていました。今振り返ると、人生の無駄でした。


40 LINES
TIME 2:04:35 LV15
TETRIS 1

できるだけ短い時間で40列消すというルールです。


ULTRA 2min

LINE 39
SCORE 91500
LV.15

TETRIS 3


2分以内で何行消せるかというルールです。多ければ多いほど良い。


BLACK

SCORE 3403528
LINE 1464
PLAY TIME 01:18:28
TETRIS 81
T-SPIN 24

ゲーム開始時からテトリミノの落下速度が最速なので、このルールが最も難しいです。この記録は、電池がなくなりそうだったのと自分の体力・気力の限界でギブアップした時のものです。この時も人生を無駄にしたような気がしました。

個人的に、テトリスはもう攻略し尽くして、新しいことはあまりないかな、という感じです。ぷよぷよがやりたいです。

およそ半年振りのフットサル

昨日夏休み以来のフットサルを万博でやってきました。
5分でばてると予想していましたが、案外動けて公式記録は2ゴール、非公式記録では3ゴール1アシスト(多分)だと思います。 これも修士論文をやるふりをして、フットサルのイメージトレーニングを続けてきた成果に違いないです。
久しぶりに参加したら、メンバーも半数くらい入れ替わっていて(全部で20人くらい参加)、しかも相変わらずみんなうまくて驚きました。私の環境が特殊なのか、よくどこからともなくこれだけうまい人が現れるのが不思議で仕方がないです。
帰りにメンバーとsaizeriyaで食事した時に、ゴールのご褒美として久しぶりにケーキを自発的に注文しました。スピードもキレもいまいちだったので、今後の課題としては減量を挙げていましたが、明日以降がんばります。


私はフットサルが職人気質の日本人に受けると確信しています。
サッカーに比べて少人数でできること、バスケットボールとほとんど同じコートなので場所が確保しやすいこと、サッカーほど運動量が求められないこと、女性にも参加できることなどサッカーに比べてとっつきやすい要素は確実にあります。
今年9月開幕の日本フットサルリーグは、長期的に日本のサッカーにも大きく貢献するだろうし(ブラジル代表の大多数はフットサル出身らしいです)、プレイヤーの観点からサッカーが議論されることはとても望ましいものです。
サッカーを見る人とやる人が必ずしも一致しないという日本の現象の解消になれれば面白いですね。

今日と明日は筋肉痛でしょう。

2007年2月13日

論文レヴュー はじめに

 というわけで、新コンテンツをはじめます。
 一応曲がりなりにも経済学を激しく勉強した証明です。 ここでは、読む価値のある論文、最新の論文、私の興味のある論文や専門書を、理想的には特別経済学的バックグラウンドを持たない人にも面白さが伝えられるように紹介していきます。
 以下の論文は、一流雑誌とみなし基本的に無条件で読みます(実証以外は多分読めませんし、実証も怪しいです)。(ABC Order)
American Economic Review(AER)
Econometrica
Economic Journal
Journal of Political Economy(JPE)
Quarterly Journal of Economics(QJE)
Review of Economics and Statistics(RESTAT)
Review of Economic Studies(RES)

 また、私の専門領域(?)として
Journal of Econometrics
Journal of Labor Economics(JOLE)
Labour Economics
その他スポーツネタに役立ちそうなこと

も読みます。その他でも、自分が面白いと思ったり、役に立つものであれば、がんばって読みます。

私が思うに、このように論文を簡潔に紹介することが求められ、こなすことができるのは、大体修士2年以上です。私もいまだ勉強中の身です。
 なお、本コンテンツを利用するにあたって、以下の点にご注意ください。
  • 紹介する論文が間違っている可能性があります。
 一概に学術論文といっても、ピンからキリまでその差は非常に大きいです。いくら科学的な論文といっても、未解決の問題に対する人間の主張に過ぎないので、誤りが絶対にないことはありえません。その分野の研究が進むにつれて、昔の論文の間違いが明らかになることは決して珍しくないです。論文はマジックではなく、義務教育で皆さんが学んできたように、一歩一歩の積み重ねです。
 ここでは基本的に一流と言われる学術誌を中心に紹介するのでこの可能性は低いはずですが、私が誤りに気がつかない場合がしばしばあります。もちろん、データの捏造があったとしても、私がそれを発見できることはまずないです。
  • 私が勘違いしている可能性があります。
 たかが修士2年間しか訓練を受けていない平凡な人間のやっていることなので、誤りだらけかもしれません。私はこのコンテンツ作成に対して細心の注意を払っているものの、自分の能力には限界があると認識しています。
  • ご意見大歓迎です。
 このコンテンツを作る最大の目的は、経済学に関心・理解のある人に見ていただき、コメントをいただくこと、と断言してもいいでしょう。社会人になって学術的なネットワークから離れてしまうのは、大変恐ろしいことです。

このコンテンツに関心を持った方に対して、以下のリンクは非常に有益です。


Google Scholar

Googleの学術版、論文を書く・探すには必要不可欠。興味のある学者の名前やトピックで検索して論文を見つけられます。さらに、どんな論文に引用されているかがわかります。


Webcat

実物の論文のコピーや専門書を入手したい時に、どの大学に保管されているかがわかります。



日本経済研究

日本語の学術雑誌。経済学部生や経済学研究科受験者にも役立ちます。論文は無料でダウンロードできます。



日本労働研究雑誌

同じく数少ない日本語の雑誌。労働経済学の論文が中心ですが、一般人にも読める特集やエッセイなどもあり、半年前の記事は無料でダウンロードできます。私のコンテンツの元ネタは、実はこの雑誌の論文Todayというコーナーです。



econphd

講義ノートやレジュメなどのリンク集。経済学研究科の大学院生必見。ちなみに、原則的に経済学の標準語は英語。



NBER Working Papers

Working Paper(正式に刊行される前の下書き版)が無料でダウンロードできます(学内オンリー?)。ただし、論文の質は当たり外れが大きいです。有名な学者を中心に検索すると良いでしょう。



IZA

NBER Working Papersと同じく、ドラフト版が無料でダウンロードできます。当たり外れがあります。 主なテーマはヨーロッパの労働経済です。

携帯ゲーム ダウンロードリスト

引きこもりの友ゲームです。ゲームの中でも最近は携帯で気軽にダウンロードできるものをやっています。

今までやったのは順番に
  1. 風来のシレンEZ
  2. TETRIS BLACK
  3. ドラゴンクエストII
  4. ドラゴンクエスト
  5. デジタルデビル物語 女神転生
  6. 真・女神転生-20XX(ニセンエックス)
  7. デジタルデビル物語 女神転生
  8. デジタルデビル物語 女神転生Ⅱ
  9. 真・女神転生if...ハザマ編

アトラスの携帯版女神転生シリーズはそれぞれ独立したHPがありません。

これだけダウンロードするとかなりお金がかかっているはずですね…。次回、それぞれについてコメントします。やりこんでいるところが引きこもりっぽくて好きです。

NINTENDO DSを買わない代わりに携帯で遊んでいるものの、はっきり言ってDS欲しいです。

DISCS of 2006

デスクワークの友は音楽ですね。昨年へヴィ・ローテーションで聴いたものを順不同で挙げます。解説は蛇足なので、作品を聴いて下さい。




随分好みが変わったように思います。基本的にラウドなのはそんなに受け付けられなくなりました。
YUKIのソロはCommune(中古で売ってません!)以外全て集めましたが、ファーストアルバムが一番飽きにくいです。
Thom Yorkeのアルバムは文句のつけようがないというか、ジャンルを作っている革命さが好きです。
実はクラシックはまだあんまり慣れていないけど、村治佳織さんのアルバムではこれがダントツで好きです。ロックの音楽もあるからでしょうか。
MOGWAIは2005年の初夏から2006年の上半期までず~っとこれを聴いていました。最新アルバムMr. Beastはちょっとラウドすぎてちょっと合いませんでした。でも大阪のライヴも見に行きました。また行きたいです。
IvyのLong Distanceは14曲入りの国内盤をたまたま中古で入手しました。これは入手がかなり難しいですね。IvyのメンバーがFountains of Wayneの中心人物であり、フランス系アメリカ人の甘いヴォーカルが決め手で入手しました。静かな大人のポップという感じで、派手さはありませんが落ち着いていておしゃれな感じです。Fountains of Wayneは、最近youtubeで彼らのライヴパフォーマンスを見ましたが、案外おっさんでなよなよしていて多少幻滅しました。予想通り、あんまりエネルギッシュさはないです。4月3日に新作が出るらしいです。

最近良いと思ったのは、木村カエラです。視聴はこちら
彼女はモデルらしくて、そのルックスだけで売っているビジネスミュージックだと思ったら、少なくともScratchというアルバムに関しては全くそんなことはありませんでした。
一般人のための大衆音楽(?)が良いと思うのは本当に珍しいです。アルバム買おうかな…。

ブログ開設しました

いい加減HTML言語によるHPの編集も時代遅れになりつつあると思われるので、更新も容易なブログ形式にしました。
現在、元のHP(こちら)より過去のコンテンツを移植中かつBloggerのシステムを理解している途中です。
大学院生活で若干頭がおかしくなってしまったので、コンテンツも変更します。
今後ともよろしくお願いいたします。

BGM: 木村カエラ(こちら